マラソンを走るランナー達

ネガティブスプリットvsポジティブスプリット、マラソンのペース配分どうする?

更新日: 著者:RUNNAL編集部

マラソンを走る上で気になるのがペース配分。前半にやや飛ばす「ポジティブスプリット」か、後半にペースを上げる「ネガティブスプリット」かで迷っているランナーは多いはず。走り方次第で、そのレースの良し悪しが大きく変わってくるので、どんなラップを刻んでいくかはマラソンランナーにとっては重要なことです。

この記事では、「イーブンペース」と「ネガティブスプリット」、「ポジティブスプリット」の3つのペース配分を紹介しつつ、大会当日のおすすめの走り方について紹介させて頂きます。どんなペースで走るべきか迷っているランナーは是非参考にしてみてください。

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マラソンのペース配分は全3通り

①イーブンペース

マラソンのスタートからフィニッシュまで一定のペースで走り続けるのが「イーブンペース(イーブンスプリット)」です。ペースの上げ下げなく一定のリズムで走り続けるので、無駄な体力の消耗がなく、理想的な走り方です。しかし、5キロや10キロといったショートレースはともかく、42.195kmもの長い距離を走るフルマラソンでイーブンペースで走るというのはかなり難しいです。

②ネガティブスプリット

ネガティブスプリット

スタートは抑え気味のゆったりペースで入り、中間点や30キロ過ぎあたりからペースを上げていく走り方が「ネガティブスプリット」です。今や、オリンピックや世界陸上といった国際レースでは、優勝ランナーのタイムはネガティブスプリットとなることがほとんど。そして、世界記録(エリウド・キプチョゲ:2時間1分36秒)と日本記録(大迫傑:2時間5分50秒)も前半より後半のラップが速いネガティブスプリットで誕生しています。

③ポジティブスプリット

ポジティブスプリット

前半にやや速めのペースで入り、後半にじわじわとペースが下がっていくのが「ポジティブスプリット」という走り方。ポジティブスプリットは、フルマラソン後半の失速を予め予測して、前半に貯金を作って、後半の失速をカバーしようというものです。42キロも走ると20キロ過ぎ~30キロ過ぎ辺りで脚が動かなくなり失速してしまうので、多くの市民ランナーのラップはポジティブスプリットになっています。

イーブンペースのメリット・デメリット

イーブンペースで走るランナー

メリット

イーブンペースのメリットは、走るためのエネルギーを無駄なく効率よく使えるということ。まるで機械のように同じラップを42.195km刻み続けることで、ペースの上げ下げによる体力の無駄な消耗をなくし、自分の持てる力を全て出し切るのです。ハーフマラソンやフルマラソンで良いタイムというのは、ほぼイーブンペースに近いラップであることが多いです。

デメリット

イーブンペースのデメリットは、実際の大会でイーブンペースを意識して42.195kmを走り通すことは難しいということです。イーブンペースで力を全て出し切るためには、まずは自分の適性ペースをかなり正確に把握できていないといけません。また、レースでは周りのランナーとの競り合いもあるので、ペースが多少動くことがほとんど。そのため、フルマラソンのような長距離レースでは、ネガティブスプリットかポジティブスプリットの走りになることがほとんどです。

ネガティブスプリットのメリット・デメリット

ペースを上げて走るランナー

メリット

後半にペースを意図的に上げるネガティブスプリットのメリットは、良い記録が狙えるということ。前半の走りはウォーミングアップ感覚でリラックスしながら走ることで、無駄の無い良い走りが出来ます。そして、体があたたまってきたところで、貯めておいた力を一気に爆発させることで、良い記録が狙えます。実際、世界大会で優勝するランナーや、現在の世界記録や日本記録を含め、多くの偉大な記録はネガティブスプリットで生まれています。

また、後半にペースを上げて走るので、周りのランナーをごぼう抜き出来、本来つらいはずの後半も楽しく走ることが出来るのがネガティブスプリットの良いところ。

デメリット

ネガティブスプリットのデメリットは、マラソン初心者やフルマラソンの経験が数回程度のランナーでは難しいということ。もちろん、完走タイムは無視して走るのであれば、ネガティブスプリットは誰でも可能ですが、ある程度良いタイムを狙って走るのであれば、ネガティブスプリットが逆にタイム達成の障害となるのです。

その理由は、フルマラソンのような長い距離だとどれだけ前半抑えても、後半に足がバテて失速してしまうため。一流ランナーになると日々たくさんの距離走り込んでいるので、そんなことはありませんが、初心者~中級レベルのランナーだと30キロ過ぎの疲労でペースアップが難しくなるのが普通です。

ポジティブスプリットのメリット・デメリット

颯爽と走り出すランナー

メリット

前半に貯金を作る意味でやや速いペースで走るポジティブスプリットのメリットは、マラソン完走からサブ3を狙うまでのランナーにとっては記録を狙いやすいことです。前半にそれなりに貯金を作っておくことで、後半に多少ペースが落ちても、その分を前半の貯金でカバーすることが出来ます。マラソン大会でサブ3やサブ3.5、サブ4といった節目の記録を達成するランナーも、ポジティブスプリットのペース配分を設定してレースへ挑んだという場合が多いです。

例えば、サブ3を狙う場合の平均ペースはキロ4分16秒。前半はキロ4分から4分10秒で走り、前半で作った2~5分の貯金分で後半の失速分をカバーするというのがネガティブスプリット。

デメリット

ポジティブスプリットのデメリットは、20~30キロ過ぎの大失速を招くリスクがあるということ。ポジティブスプリットは、本来の適性ペースよりやや速いラップを刻むものですが、適正ペースより大幅に速いペースで走り出してしまうとオーバーペースによって20~30キロ過ぎで脚が全く動かなくなってしまいます。このような結果に終わるレースを失敗レースと呼びますが、ポジティブスプリットは前半のペース設定次第で失敗レースと終わってしまう可能性があるのです。

マラソンのペース配分、結局どの走り方がおすすめ?

フルマラソンを走るランナーたち

初心者からサブ4→「ポジティブスプリット」

フルマラソン完走を狙うランナーからサブ4を狙うランナーは、基本的に「ポジティブスプリット」がオススメ。一般的な市民ランナーの場合は、20~30キロ過ぎでどうしてもバテがやってきます。いくら20kmまでは余裕のある走りが出来ていたとしても、1~20キロを走る過程で脚にはかなりの疲労が溜まっているので、20km~30km過ぎで足が急激に重くなります。マラソン上級者を除いて、20~30キロ過ぎの失速は避けられないものです。

そのため、前半は適正ペースよりやや速めに入っていく走りの方が良いタイムは出せやすいです。もちろん、飛ばし過ぎると後半で大きく失速する失敗レースとなってしまいますので、極端な入り方はNGです。サブ4を狙うランナーの場合は平均ペースが5分40秒なので、前半は5分20~30秒ぐらいを目安に入ると良いです。

サブ3→「ネガティブスプリット」

フルマラソンで3時間切りを達成しているランナー、或いは3時間ちょっとでもう少しでサブ3というランナーの場合は、「ネガティブスプリット」に挑戦してみるのもオススメ。基本的に市民ランナーの場合は、ポジティブスプリットの方がタイムが出やすいですが、サブ3レベルのランナーならネガティブスプリットで走ることで新たな境地を開けることがあります。たくさん走り込んでいるのに、タイムが伸び悩んでいるというランナーは、次の大会でネガティブスプリットを意識した走りをしてみると良いでしょう。

憧れのネガティブスプリットで走るには?

ネガティブスプリットで走るランナー

ネガティブスプリットで良いタイムを出すというのは結構難しいことです。足に疲労が蓄積している後半にペースアップするという走り方は想像以上に難しいです。でも、世界を代表するランナーのラップを見てみるとネガティブスプリットで2時間1分台や2分台、3分台といった好タイムを出しています。日本のトップ選手も同じくネガティブスプリットで好タイムを連発。後半20キロや30キロ過ぎでスパートをかけて、ペースアップする一流ランナーのカッコイイ姿を見ていると、「自分のあんな走り方がしたい!」と思うことでしょう。

憧れのネガティブスプリットを実践するためには、練習でしっかりと走り込んでおく必要があります。30キロ過ぎでバテない脚を作るために、2時間半~3時間LSDや20~30キロ走といった距離を踏む練習を多くこなしておく必要があります。一流のランナーたちが30キロ過ぎでペースアップ出来るのも、ロング走などでスタミナのある脚力をしっかりと作り込んでいるからです。

また、ビルドアップ走のように徐々にペースアップしていく練習も効果的です。ネガティブスプリットの走り方に憧れるランナーは、ロング走やLSDの頻度を増やし、ビルドアップ走のような後半のペースアップを意識した練習に取り組んでみましょう。

ペース配分に正解はない!自分に合った走り方を見つけることも大切

ペースを時計で確認するランナー

フルマラソンで良いタイムを出すためには、「①イーブンペース②ネガティブスプリット③ポジティブスプリット」の順番で理想と言われています。一番はやっぱり燃費の良いイーブンペースで、二番は後半にペースアップするネガティブスプリット、そして三番が前半に貯金を作るポジティブスプリット。しかし、これは全てのランナーにとって正解ではありません。ランナーのレベルや特性によって、合っているペース配分には違いがあります。そのため、どの走り方が一番良いのかどうかはやっぱり自分次第です。

マラソン大会への参加や日々の練習を通してペース配分について考えていく中で、きっと自分に合った走り方というものが見つかるはずです。今の走り方が自分にしっくりきているなら、その走り方を続ければ良いですし、もしそうではないなら今とは違った走り方をしてみるのも良いでしょう。いろいろと試行錯誤しながら自分にあったペース配分というものを見つけてみましょう。

    RUNNAL編集部

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