マラソンを走る市民ランナーや、陸上長距離種目に取り組む中学生や高校生、大学生といった学生さんなら、箱根駅伝を走る学生のエリートランナー達がどこのメーカーの、どのシューズを履いて走ったのか気になるところ。
今回の記事では、2023年1月2日と3日に開催された箱根駅伝(第99回東京箱根間往復大学駅伝競争)で出走した全210選手の足元のシューズに着目し、どのメーカーのシューズが一番人気だったのか、区間賞受賞者はどのモデルを履いていたのかを紹介しつつ、最後に着用率ランキングTOP7を紹介しています。ナイキやアディダス、アシックスなどの厚底シューズはどの程度履かれていたのか気になる方は是非参考にしてみてください。
目次
箱根駅伝2023は駒澤大学が総合優勝

出典:駒澤大学HP
2023年1月2日〜3日に開催された第99回箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競争)では、東京都世田谷区にキャンパスを構える駒澤大学が10時間47分11秒のタイムで2年ぶり8度目の総合優勝を果たしました。2日の往路(1区〜5区)と3日の復路(6区〜10区)ともに制しての完全優勝です。また、2022年10月開催の第34回出雲駅伝(出雲全日本大学選抜駅伝)と11月開催の第54回全日本大学駅伝(全日本大学駅伝対抗選手権大会)も優勝しており、大学三大駅伝全てを制しての見事な三冠達成となりました。
また、1位と1分42秒差の10時間48分53秒で中央大学が2位に、前年(2022年)に驚異的な大会記録(10時間43分42秒)で優勝を果たした青山学院大学は3位という結果になっています。以下は、4位が國學院大学、5位が順天堂大学、6位が早稲田大学、7位が法政大学、8位が創価大学、9位が城西大学、10位が東洋大学となりました。
箱根駅伝2023でもナイキの厚底シューズが一番人気!ブランドシェアランキング

出典:ナイキHP
メーカー | 着用選手数 | シェア率 |
---|---|---|
nike (ナイキ) |
130人 | 61.9% |
adidas (アディダス) |
38人 | 18.1% |
asics (アシックス) |
32人 | 15.2% |
puma (プーマ) |
7人 | 3.3% |
new balance (ニューバランス) |
1人 | 0.5% |
mizuno (ミズノ) |
1人 | 0.5% |
under armour (アンダーアーマー) |
1人 | 0.5% |
毎年箱根駅伝では、出走する選手たちがどこのメーカーのランニングシューズを履くのか注目されます。そして、今回の第99回大会である箱根駅伝2023で一番人気だったメーカーは、例年通りnike(ナイキ)です。革新的な厚底シューズを発売以来、多くの箱根ランナーがナイキの厚底を着用していますが、それは2023年も変わらず、全210選手中130選手が着用し61.9%という驚異的な着用率を誇る形となりました。
ただし、2021年の95.7%、2022年の73.3%よりも下落し、ナイキ一強の時代から徐々に他メーカーの人気が高まっています。2023年の箱根駅伝で特に人気が高まったのが欧州最大のスポーツメーカーであるadidas(アディダス)と国内最大のスポーツメーカーであるasics(アシックス)です。アディダスは2021年の1.9%、2022年の13.3%から、アシックスは2021年の0%、2022年の11.4%から確実にシェアを伸ばしています。
また、総合優勝を果たした駒澤大学の選手は1区から10区の全10選手が全てナイキの厚底シューズを着用していました。さらに、総合順位上位3チームのナイキ着用率は93.3%、上位5チームでも84%であるため、速い選手、強いチームほどナイキを選ぶ傾向があるのは以前と変わらないようです。
アディダスやアシックスも好記録連発!箱根駅伝2023の区間賞ランナーの着用シューズ一覧
区間 | 選手名 | 大学(学年) | 記録 | シューズ |
---|---|---|---|---|
1区 | 富田 峻平 | 明治大学(4年) | 1時間02分44秒 | ヴェイパーフライネクスト%(ナイキ) |
2区 | 吉居 大和 | 中央大学(3年) | 1時間06分22秒 | アルファフライネクスト%(ナイキ) |
3区 | 中野 翔太 | 中央大学(3年) | 1時間01分51秒 | ヴェイパーフライネクスト%2(ナイキ) |
4区 | イェゴン・ヴィンセント | 東京国際大学(4年) | 1時間00分00秒 (区間新) |
アディオスプロ3(アディダス) |
5区 | 山本 唯翔 | 城西大学(3年) | 1時間10分04秒 (区間新) |
ヴェイパーフライネクスト%(ナイキ) |
6区 | 伊藤 蒼唯 | 駒澤大学(1年) | 58分22秒 | アルファフライネクスト%2(ナイキ) |
7区 | 杉 彩文海 | 明治大学(3年) | 1時間02分43秒 | ヴェイパーフライネクスト%(ナイキ) |
葛西 潤 | 創価大学(4年) | 1時間02分43秒 | アディオスプロ3(アディダス) | |
8区 | 宗像 直輝 | 法政大学(3年) | 1時間04分16秒 | アディオスプロ3(アディダス) |
木本 大地 | 東洋大学(4年) | 1時間04分16秒 | メタスピードスカイ(アシックス) | |
9区 | 岸本 大紀 | 青山学院大学(4年) | 1時間07分27秒 | アルファフライネクスト%(ナイキ) |
10区 | 西沢 侑真 | 順天堂大学(4年) | 1時間07分27秒 | メタスピードスカイ+(アシックス) |
箱根駅伝2023では、全12選手が区間賞を獲得しています。区間賞受賞者の選手の着用シューズを見てみると、全12人中7人がnike(ナイキ)の厚底シューズです。つまり、区間賞におけるナイキの着用率は58.3%。ナイキのヴェイパーフライシリーズやアルファフライシリーズが相変わらずその強さを発揮した形となっています。
ただし、アディダスの厚底シューズを着用した選手も3人、アシックスの厚底シューズを着用した選手も2人が見事に区間賞を獲得しています。特に4区で驚異的な1時間ジャストタイムの区間新記録(1時間00分00秒)を達成した東京国際大学4年のイェゴン・ヴィンセント選手が着用していたアディダスの厚底シューズであるアディオスプロ3が大きな注目を集めることになりました。また、8区では7区同様に2人の区間賞が生まれる形となりましたが、その2人ともに非ナイキシューズであるアディダスとアシックスのシューズを着用していました。
一番人気はどのモデル?箱根駅伝2023シューズの着用率ランキングTOP7
【第7位】ナイキ ストリークフライシリーズ【1.4%(3人)】
箱根駅伝2023を出走した全210選手の中で3人が着用し1.4%の着用率を記録した7番人気のシューズが、nike(ナイキ)の薄底レーシングシューズである「NIKE ZOOM X STREAK FLY(ナイキ ズームXストリークフライ)」です。
ナイキのズームXストリークフライは、5kmや10kmのショートロードレースをメインターゲットに、長くてもハーフマラソンまでの距離での使用を想定し開発されたレースシューズです。ナイキを代表する厚底シューズであるヴェイパーフライシリーズやアルファフライシリーズと比較しボリュームを抑えたミッドソールを採用しているため、薄底シューズのように接地感覚を得ながら走れるのが最大の特徴となっています。シューズに走らされるのではなく、自分の脚力で前へ推進する感覚があるため、トレーニング用としても人気があるシューズです。また、マラソン用厚底レーシングシューズと陸上競技用スパイクの丁度間のような履き心地であるため、春夏に競技場のトラックで練習するシューズとしても扱いやすくなっています。
ナイキ ズームXストリークフライ
【第7位】プーマ FAST-R NITRO ELITEシリーズ【1.4%(3人)】
ナイキのズームXストリークフライと同じく、箱根駅伝2023で1.4%の着用率を誇り7番人気だったのが、puma(プーマ)の最速厚底レーシングシューズである「FAST-R NITRO ELITE(ファストRニトロエリート)」です。実際の箱根駅伝2023では、特別仕様の「FAST-R NITRO ELITE EKIDEN」が着用されていました。
プーマのファストRニトロエリートは、プーマ独自のカーボンファイバープレートであるPWRPLATE(パワープレート)が剥き出しになっているのが大きな特徴です。PWRPLATEは地面に近い位置に配置され、安定性を確保しながらも優れた推進力を得られる構造となっています。また、ソールが前足部と後足部で2分割された形状となっているのも特徴的で、前足部にはプーマ史上最高の高反発を生むクッショニング素材であるNITORO ELITE FOAMが採用されています。NITORO ELITE FOAMは軽量性にも優れた素材で、厚底カーボンシューズとしては最軽量クラスとなる194gの軽量性を実現させています。
プーマ ファストアールニトロエリート
【第6位】プーマ デヴィエイトニトロエリートシリーズ【1.9%(4人)】
箱根駅伝2023で210人中4人の選手が着用し着用率1.9%で6番人気となったのが、puma(プーマ)のスピードレーシングシューズである「DEVIATE NITRO ELITE 2 EKIDEN(ディヴィエイトニトロエリート2エキデン)」です。
プーマのディヴィエイトニトロエリート2エキデンは、高い反発力に加え優れた安定性も備え、厚底初心者でも比較的扱いやすいのが最大の特徴の厚底カーボンシューズです。反発性や安定性だけではなく、軽量性やクッション性にも優れ、非常にバランスの取れた厚底シューズとなっています。もちろん、カーボンファイバー製プレートであるINNOPLATEを搭載し、高反発素材であるNITRO ELITE FOAMを採用しているため、厚底特有の優れた推進力もしっかりと実感出来ます。また、アウトソールにはあらゆる気象条件でもしっかりとグリップ力を発揮するPUMA GRIP LTが採用されているたため、雨の日のレースでも何の不安もなく走ることが出来ます。
ディヴィエイトニトロエリート2 EKIDEN
【第5位】アディダス タクミセンシリーズ【2.9%(6人)】
箱根駅伝2023で全210人中6人が着用し着用率2.9%を誇り全体で5番人気となったのが、adidas(アディダス)の「ADIZERO TAKUMI SEN 9(アディゼロタクミセン9)」です。2022年3月開催の日本学生ハーフマラソンで優勝を果たし、箱根駅伝2023でも花の2区を出走した國學院大学の平林清澄選手が愛用しているシューズとしても有名です。
アディダスのアディゼロタクミセン9は、5kmからハーフマラソンまでの距離のロードレースをターゲットに開発された厚底レーシングシューズです。アディダス独自の5本骨状バーであるENERGY RODSを搭載し、通常の厚底カーボンシューズよりも接地感覚や屈曲性を損なうことなく爆発的な推進力を得られるのが最大の特徴です。また、同じくアディダスで人気の厚底レーシングシューズであるアディオスプロ3と比べ、ミッドソールの厚みが程よい厚みに抑えられ、反発力も強すぎることがないために、厚底シューズながらも薄底シューズに近い感覚で走れるのも大きな魅力です。もちろん、アディダスが誇る高反発クッショニング素材であるLIGHTSTRIKE PROをミッドソールに採用しているため、十分なクッション性と反発性を得ることが出来ます。
アディダス アディゼロタクミセン9
【第4位】アシックス メタスピードスカイシリーズ【14.3%(30人】
箱根駅伝2023の全210選手中30選手が着用し着用率14.3%を記録し全体で4番人気となったのが、asics(アシックス)の厚底シューズである「METASPEED SKY(メタスピードスカイ)シリーズ」です。全30選手のうち、17選手が最新のMETASPEED SKY+(メタスピードスカイプラス)を、13選手が旧モデルのMETASPEED SKY(メタスピードスカイ)を着用していました。また、東洋大学の8区の木本大地選手と順天堂大学の10区の西沢選手の2人がメタスピードスカイシリーズを着用し見事に区間賞を獲得しました。
アシックスのメタスピードスカイプラスは、ストライド型ランナーのために設計された厚底カーボンシューズ。地面を押す力が強いストライド型ランナー向けに、フラットな形状のカーボンプレートを出来る限り足に近い位置に配置しているのが特徴で、それによりストライド型ランナーがより強い反発力を得られる構造となっています。ミッドソールにはアシックス史上最強の高反発クッショニング素材であるFF BLAST TURBOを採用しています。また、厚底カーボンシューズは反発力とクッション性に優れている反面、着地時の沈み込みが大きく安定性に欠けるというデメリットがありますが、アシックスのメタスピードスカイプラスは沈み込みが少なく安定性にも優れているのも特徴です。さらに耐久性にも優れているため、中学生や高校生、大学生、社会人と日本人ランナーの間では着実に人気が高まっています。
アシックス メタスピードスカイプラス
【第3位】アディダス アディオスプロシリーズ【15.2%(32人)】
箱根駅伝2023で、ナイキの厚底シューズに次いで人気が高かったのがadidas(アディダス)の「ADIZERO ADIOS PRO 3(アディゼロアディオスプロ3)」です。全210選手中32人がアディゼロアディオスプロシリーズを着用し(31人が最新モデルの3、1人が旧モデルの2)、着用率は15.2%を記録し全体で3番人気のシューズとなりました。また、4区で1時間ジャストの驚異的な区間新記録を樹立した東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント選手が着用していたのが、まさにこのアディゼロアディオスプロ3です。
アディダスのアディゼロアディオスプロ3は、海外のトップ選手も多く着用するアディダス最速レーシングシューズ(マラソンシューズ)。5本指カーボンとも呼ばれるアディダス独自の5本骨状カーボンバーであるENERGYRODS2.0を高反発素材であるLIGHTSTRIKE PROに挟み込み、爆発的な推進力が得られるのが特徴。また、他の厚底カーボンシューズよりも安定性に優れているのも特徴で、フォアフット走法のランナーだけではなくミッドフット走法やヒールストライク走法のランナーでも比較的扱いやすいのも特徴です。
アディダス アディゼロアディオスPRO3
【第2位】ナイキ アルファフライシリーズ【18.6%(39人)】
箱根駅伝2023で2番人気のシューズとなったのが、nike(ナイキ)の最強&最速レーシングシューズである「ALPHA FLY(アルファフライ)シリーズ」です。全210選手中、23人が最新モデルである「ALPHA FLY NEXT% 2(アルファフライネクスト%2)」、16人が旧モデルである「ALPHA FLY NEXT% (アルファフライネクスト%)」を着用し、合わせて39人が着用し着用率は18.6%を記録しました。区間賞で見ると、6区区間賞の伊藤蒼唯(駒澤大学)選手がアルファフライネクスト%2を、9区区間賞の岸本大紀(青山学院大学)選手がアルファフライネクスト%を着用していました。
ナイキのアルファフライネクスト%2は、今や長距離業界の世界王者であるナイキが誇る世界最高峰のマラソンシューズです。前足部に2つのZoom Airユニットを搭載しているのが最大の特徴で、ZoomXフォームとフルレングスのカーボンファイバー製プレートとの組み合わせにより、異次元の推進力を得られる爆速シューズとなっています。特にZoom Airユニットが重要なキーで、その部分で正しく着地することでNIKE史上最高のエネルギーリターンを得られる仕組みとなっています。そのため、完全にフォアフット走法を習得したエリートランナー向けのシューズとなっています。
ナイキ エアズームアルファフライネクスト%2
【第1位】ナイキ ヴェイパーフライシリーズ【41.9%(88人)】
箱根駅伝2023で最も多くの箱根ランナーに選ばれた一番人気のシューズが、nike(ナイキ)の「VAPORFLY(ヴェイパーフライ)シリーズ」です。全210選手中88人が着用し(82人が最新作の2、6人が旧作の1を着用)、41.9%という驚異的な着用率を誇りました。また、上位3校(駒澤大学・中央大学・青山学院大学)ではその着用率は53%となり、2023年度においては箱根ランナー御用達のシューズとなっています。
ナイキのズームXヴェイパーフライネクスト%2は、NIKE史上最強の反発力を生むZoomXフォームをかかとからつま先まで採用し、さらにフルレングスのカーボンファイバープレートを搭載することで、爆発的な推進力を得られるシューズとなっています。また、ヴェイパーフライシリーズよりも後に登場しナイキ最高峰のマラソンシューズとして君臨しているアルファフライシリーズと比較すると、着地時の安定性や扱いやすさに優れているため、アルファフライシリーズ登場以降もヴェイパーフライシリーズが多くのランナーに得らればれるナイキ人気NO.1のレーシングシューズとなっています。もし、ナイキの厚底に挑戦するなら、まずは箱根ランナーからも人気が高く、比較的扱いやすいヴェイパーフライシリーズから試してみるのがオススメです。
ナイキ ズームXヴェイパーフライネクスト%2
箱根駅伝2023で人気だった爆速シューズの走りを体験してみよう
今回の箱根駅伝2023では、ナイキのヴェイパーフライシリーズやアルファフライシリーズ、アディダスのアディゼロアディオスプロシリーズ、アシックスのメタスピードスカイシリーズが着用率が高く、人気のシューズという結果となりました。これらのシューズはどれも高反発クッショニング素材を採用し、そこにカーボンプレートを搭載し、通常のランニングシューズでは得られない爆発的な推進力を得られる高速シューズとなっています。
中学校や高校、大学で陸上長距離種目や駅伝に取り組む学生さんや、マラソン大会でサブ2.5やサブ3、サブ3.5へと挑戦する市民ランナーの方は、是非箱根ランナーも着用した爆速シューズを着用し、その異次元の走りを体験してみましょう。