ランニングの腕振りの重要ポイントと改善トレーニング

投稿日:  著者:RUNNAL編集部

マラソンや長距離走で長い距離を疲れずに速く走るためには腕振りが重要。正しい方法で腕を振って走れば、効率の良い走りが出来て、陸上中長距離種目からハーフマラソン、フルマラソンまで良い結果につながります。逆に腕の振り方が間違っていると、無駄にエネルギーを使ってしまったり、上半身を力をうまく下半身へと伝えることが出来ず、疲れやすい走りになったり、スピードが出ない走りになってしまいます。そういったことを防ぐためにも、走る上でどのように腕を振るかが大切。

もちろん腕振りは競技志向のランナーだけではなく、ダイエットや健康のために走る人にも大切。有酸素運動は走るにせよ、歩くにせよ、正しい腕振りを身に着けることで、有酸素運動本来の効果を得ることが出来ます。

この記事では、全てのランナーのために、走る上で重要となる腕振りの正しい振り方について紹介させていただきます。また、正しい腕の振り方を身に着けるのにおすすめ出来る練習・トレーニング方法も紹介しているので、そちらも是非参考にしてみてください。

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ランニングの腕振りの3つの役割

①走るリズムを作る

マラソン・長距離走で疲れずに、速く走るためには一定のリズムを刻むことが大切。走るリズムがバラバラだと、余分なエネルギーを使ってしまい、効率の悪い走りとなってしまいます。車で例えると、急加速や急ブレーキをかけて燃費の悪い走りになってしまうのと同じ。車の運転は一定のペースで走るのが燃費が良くなるように、走る時も一定のペース、リズムで走る方が疲れにくい。

そしてそのリズムを作っているのが「腕振り」です。腕を振るということは足のリズム、走るペースを作っていくということ。

②走る姿勢を安定させる

腕振りは姿勢を安定させる役割があります。遅いペースだと、腕を振らなくても姿勢を維持することは難しくありませんが、速いペースになればなるほど腕を振らないと姿勢を維持するのが難しくなります。

例えば、外に出てみて腕を体の側面に固定した状態で走ってみると分かりやすいです。軽くジョギングする程度なら問題ありませんが、短距離走(ダッシュ)をしてみると姿勢が不安定になり咄嗟に腕を振りたくなるはずです。これは走る上で腕振りが姿勢、特に体幹部を支える重要な要素になっている証です。

③推進力を生み出す

上半身と下半身はバラバラではなく、上半身の動きは下半身へと連動していきます。そのため、腕を振ることで、その動きを下半身へと伝え、足を前へと出すことが出来ます。腕を振るということは、前へ進むための推進力を生み出します。走る時には「しっかりと腕を振ることが大切」と言われるのはこのため。

肩甲骨を使った腕振りが効率よい走りに効果的

効率よく走るためには、「肩甲骨を使った腕振り」が重要。背中にある肩甲骨は背骨を通じて、足運びを支える骨盤と連動しています。肩甲骨を使って腕を後ろへ引くと、その動作が背骨を通して骨盤へと伝わります。骨盤は前へ回旋し、足が前へと動きます。つまり、脚を前へと動かす起点となるのが肩甲骨。そのため、肩甲骨を使った腕振りを身に着けることで、効率の良い走りを身に着けることが出来ます。

ランニング中の腕振りは「脇を締める」、「肘を90度に曲げる」、「肘を引く」といった様々なポイントがありますが、最も重要となるのが肩甲骨を意識すること。効率よく疲れにくいランニングフォームを身に着けたい人は、肩甲骨を意識して腕振りを改善していくことが大切です。

正しい腕振りを身に着けるための6つのポイント

腕振りの重要ポイント

①肩の力を抜く

腕を振る時は肩の力を抜きましょう。

肩に力が入っていると、肩を大きく使った腕振りとなってしまい、腕が疲れやすい、肩が凝りやすい腕振りになってしまいます。もし、肩に余計な力が入っているなら、深く深呼吸しましょう。その際に、「息を吸いながら一旦肩を持ち上げて息を吐くと同時に肩をストンと落とす」動作をやってみましょう。そうすることで、肩から余分な力を抜くことが出来ます。

②脇を適度に締める

「走る時は脇を締めることが大切」と言われますが、締めすぎはNG。脇を締めすぎると腕振りが窮屈になり、動きがぎこちなくなります。もちろん、脇が大きく空いていると腕が前後ではなく横に流れてしまうので、空き過ぎもNGです。脇は前後に腕を振りやすい程度に、適度に締めておくことが大切。

③肘は90度くらいに曲げる

肘の角度は90度くらいを意識して曲げましょう。

肘を伸ばしたまま走ると、腕振りの際に腕が後ろへ大きく流れてしまい、素早い腕振りが出来ません。腕振りのリズムは足のリズムへ直結するので、腕振りが遅いと走るスピードも遅くなります。マラソンや長距離走を走ろうと思ったら、90度ぐらいがベストです。

また、短距離走や長距離走のトップランナーでは90度より鋭角に肘を曲げて走るランナーも多いですが、それは足のピッチがかなり速いため。肘を鋭角に曲げれば曲げるほど腕振りを素早く出来るため、速いランナーほど肘の角度は鋭角になっていきます。しかし、一般的な長距離走では、90度ぐらいが丁度良いです。

④肩甲骨を意識して腕を振る

腕振りは肩甲骨を意識して行うことが大切。

肩甲骨は背骨を通して骨盤と連動しています。肩甲骨を意識した腕振りをすることで、「腕を引く→骨盤が前へ回旋する→足が前に出る」といったように、次の一歩が自然と出てきます。足をしっかりと動かしたいと思ったら、肩甲骨を意識して腕を振ることが重要。

⑤前へ振るのではなく肘を後ろへ引くイメージ

腕は前へ大きく振るのではなく、後ろへと引くイメージを持つことが大切。腕を前へ振ろうとすると、肩や腕周りの筋肉がすぐに疲れてしまいます。腕をしっかりと振ることは大切ですが、前へ強く振るのはエネルギーの無駄なのでやめておきましょう。

むしろ、腕は後ろへ引くもの。その時は肘を後ろへ引くことをイメージすると良いです。足は腕を後ろへ引いた時に、腕の振りと連動するように前へと出る仕組みになっているので、腕は前へ振るのではなく後ろへ引くことを意識すると良い。

⑥腕は大きく振る必要はなし!軽く振るイメージ

「腕は大きく振ろう」と言われることがありますが、長距離ランナーは例外。短距離走では腕を大きく振ることで瞬間的に爆発的な推進力を得ることが出来ますが、長距離走では腕を大きく振ってしまうとただただ疲れてしまうだけ。そのため、腕は走るペースに合わせて軽く振るぐらいがが丁度良いです。走るペースがゆったりめなのに、無駄に腕だけ大きく振る必要はありません。

正しい腕振りへと改善するための3つのトレーニング

①肩甲骨ストレッチ

正しい腕振りを習得するために欠かせないのが、肩甲骨を使いこなすこと。肩甲骨をうまく使って走るには、日ごろから走る前には肩甲骨ストレッチを取り入れるのがおすすめ。肩甲骨ストレッチを取り入れることで、肩甲骨を使った腕振りの意識付けが出来ます。トレーニング前やレース前のウォーミングアップで取り入れるのがおすすめ。

1.肩甲骨を上下に動かすストレッチ

肩甲骨ストレッチ

  1. 手のひらを内側にして両手を上へ上げる
  2. 肩甲骨を中央に寄せるように、手のひらを外側へ回しながら両手を下す
  3. この動作を10回繰り返す

2.肩甲骨を前後に動かすストレッチ

肩甲骨ストレッチ

  1. 手のひらを外側にして両手を前へ伸ばす
  2. 肩甲骨を中央へ寄せるように、手のひらを内側へ回しながら両手を体の側面へ引き押せる
  3. この動作を10回繰り返す

②ダンベルを使った腕振りの筋トレ

腕振りの動作をしっかりと学びたい、腕が疲れないように腕の筋持久力を鍛えたいという場合は、ダンベルを使った腕振り筋トレがおすすめ。

この筋トレでは、腕を太くすることが目的ではないので、ダンベルは片方500gの軽いもので大丈夫。筋力の少ない女性の場合は片方250gのダンベル、又は350mlのペットボトルで代用するのも良し。腕振りの時間は、初めての場合は5分程度。腕を振るペースは普段のジョギングと同じペースで。もし、慣れてきたらダンベルの重さを増やすのではなく、取り組む時間を伸ばすと良いです。

この練習で一番意識すべきは肩甲骨。しっかりと肩甲骨を使って、腕を後ろへ引くイメージで取り組みましょう。

③矯正器具を使って走る

腕の振り方が前後ではなく左右に流れてしまう、腕にどうしても力が入ってしまうといった悩みを抱えている人には腕振りの矯正器具を利用するのがおすすめ。ランニング時の腕振りを矯正する道具としては「e3グリップ」が有名。e3グリップを握って走るだけで、自然な腕振りへと矯正出来るので、こういった矯正器具を取り入れてみるのも良い。

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正しい腕振りを意識して効率よい走りを手に入れよう

走りは腕振りを改善するだけでも、大きく効率の良い走りへと改善する。

腕を振るということは足を前へ出すことと直結するので、正しい腕振りのポイントはしっかりと押さえておきたい。そうすることで、今までよりももっと疲れにくく、速く走ることが出来るようになります。

もちろん走り方の特徴は人それぞれで、全てのランナーが基本に忠実の腕振りがあっているとは限らない。トップ選手を見てもわかるようにランナーのフォームは人それぞれ。腕を抱え込むように走るランナーもいれば、腕をほとんど振らないで走るランナーも。そして腕が左右に流れるように走るランナーまでいます。そのため、最終的には自分に合った腕振りの仕方を見つけていくのがおすすめ。

RUNNAL編集部

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