ランニングシューズの靴底の形状には、フラットソールとセパレートソールの2種類あります。フラットソールとセパレートソールにはそれぞれ特徴に違いがあります。どちらも優秀なソール形状ですが、自分自身の走り方に合っていないものを選ぶと、そのシューズ本来の性能は大きく下がってしまいます。逆に間違ったソールを履いていることで、タイムが伸びない、怪我をしやすいといった弊害が生まれることもあります。
この記事では、ランニングシューズのフラットソールとセパレートソールの違い、どんなランナーにはどっちが向いているのか詳しく紹介させていただきます。フラットかセパレートかどちらにしようか悩んでいる人は是非参考にしてみてください。
目次
フラットソールとセパレートソールの違い
ランニングシューズの靴底(アウトソール)の形状は、「フラットソール」と「セパレートソール」の二つあります。その二つの大きな違いは、靴底のゴムラバー部分が靴の前方と後方で分かれているかいないかの違いです。
フラットソールは、靴底に張られたゴムラバーがつま先部分からかかと部分までつながっているのが特徴。一方のセパレートソールは、土踏まずの部分に凹みがあり、土踏まずを起点に前側の方と後ろ側の方でアウトソールが分かれているのが特徴です。
フラットソールとセパレートソールは単純に見た目の形状が違うだけではなく、それに伴うメリット、デメリットに大きな違いがあります。ランニングシューズを選ぶうえでは、それぞれの特性を踏まえ、自分に合ったソール形状を選ぶことが大切です。
フラットソールのメリット・デメリット
メリット
- 疲れにくい
- 安定性がある
- 足への負担が少ない
フラットソールのシューズを履いて走ると、足裏全体で着地出来る。
踵からではなく中足部を中心に足裏全体で着地し、足裏全体で地面をとらえることが出来るので、安定感のある走りが出来ます。着地時の衝撃は足裏全体で分散出来るので、どこか一部に負担が集中する場合と違って足への負担が少なく済みます。足への負担が減るということで、筋肉疲労も溜まりにくく、スタミナを長く残しておくことが出来ます。
そういったメリットがあるため、フラットソールは、スタミナで勝負するランナーに向いているシューズです。ハーフマラソンやフルマラソンの長距離レースでも、後半にしっかりスタミナを残しておくことが出来るので、じっくり一歩一歩踏み出していくランナーにぴったり。
デメリット
- スピードを出しにくい
フラットソールの欠点は、スピードを出しにくいところ。
もちろんフラットソールで走るサブ4、そしてサブ3といった中上級者ランナーはたくさんいますし、上級者向けのフラットソールシューズも多いです。しかし、いかに速いスピードを出せるかでセパレートソールと比較した場合はフラットソールは負けます。
フラットソールは歩幅を大きくし、ダイナミックに走るストライド走法には向いておらず、どちらかというと、1歩1歩を小刻みに刻んでいくピッチ走法に向いたものです。
セパレートソールのメリット・デメリット
メリット
- スピードを出しやすい
- シューズの反発力を活かしやすい
- 重心移動がスムーズ
セパレートソールの大きなメリットはスピードを出しやすいこと。
セパレートソールは、着地時の衝撃を反発力へと変え、地面を蹴り出し、大きく前へと進むのに適したソールです。土踏まずの凹み部分(中足部)に樹脂パーツを使っており、この樹脂パーツがバネのような役割を果たし、大きな反発力を生み出してくれます。そのため、スピードで勝負するランナーにはセパレートソールが向いています。
また、セパレートソールは体重移動がスムーズに出来る踵着地に適してるので、体重移動が中々スムーズにできないというランニング初心者にもおすすめ。
デメリット
- 足の一部に負担がかりやすい
セパレートソールの欠点は、足の一部に負担がかかりやすいところ。
フラットソールは足裏全体で着地するため、着地時の衝撃を広範囲で分散することが可能です。一方、セパレートソールは、踵部或いは前足部と靴底の一部で着地する形となるため、その一部に負担が集中します。
ランニング初心者の場合はどうしても最初は足を痛めやすいので、セパレートソールを選ぶ場合は衝撃の吸収性に優れたクッション性が高い靴を選ぶことが大切です。中上級者で、前足部よりで着地するというランナーも適度なクッション性を備えたものを選ぶことが大切です。
フラットソールとセパレートソールの選び方
走り方で選ぶ
ストライド走法
歩幅を大きくして飛び跳ねるように走る「ストライド走法」にはセパレートソールがおすすめ。
ストライド走法は、“地面を大きく蹴って走る”走法です。地面を強く蹴ることで、大きい1歩をとることが出来ます。そのため、ランニングシューズには着地時の衝撃を反発力へと変えて、その反発力を活かして前への大きな推進力を生むような機能が求められます。
セパレートソールはアウトソールの形状が前と後ろで分かれており、地面を強く蹴ることが可能。そして、中足部の樹脂パーツがバネのような役割を果たし、着地から蹴り出しまでに強い反発力を発揮してくれます。
ピッチ走法
リズムよく1歩1歩を確実に刻んでいく「ピッチ走法」にはフラットソールがおすすめ。
ピッチ走法は歩幅を狭める代わりに足の回転を早めピッチを上げていくという走り方。着地時の地面との接地時間が長いとピッチが遅くなってしまうので、出来るだけ早く地面から足を離地することが大切。踵から着地していると、地面との接地時間が長くなってしまうので、足裏全体で着地するのがピッチ走法。
セパレートソールは踵部や前足部での着地には適してるものの、足裏全体で着地するのには不向き。一方のフラットソールは靴底が平らになっているので、足裏全体で着地しやすい。
着地方法で選ぶ
かかと着地
かかとで着地するランナーはセパレートソールがおすすめ。
セパレートソールはかかと着地でスムーズに体重移動出来るので、ヒールストライク走法(かかと着地走法)にぴったり。
ミッドフット走法
中足部を中心に足裏全体で着地するイメージのミッドフット走法はフラットソールがおすすめ。
フラットソールは靴底が平らな形状で、中足部で着地しやすい。
フォアフット走法
前足部で着地するフォアフット走法はセパレートソールがおすすめ。
同じフォアフットでも着地する場所が中足部よりのミッドフットに近いのであればフラットソールを選択するのも有りです。
ランニング初心者にはフラットとセパレート、どっちがおすすめ?
フラットソールかセパレートソールか、どっちが良いのかは、その人の走り方(ストライド走法orピッチ走法)、着地の仕方(かかとorミッドフットorフォアフット)によって変わってきます。そのため、絶対におすすめはコッチというのはありませんが、初心者ランナーにはどちらかというと「セパレートソール」がおすすめです。
その理由は、「体重移動がしやすいこと」と「シューズの力を借りられること」です。フラットソールは自分でうまく体重移動が出来ないとうまく走ることが出来ませんが、セパレートソールなら初心者でもスムーズに体重移動が出来、楽に走ることが出来ます。おまけにシューズの反発力の力を借りて次の1歩を踏み出すことが出来るので、初めてのランニングでも快適。
もちろん、人によってはセパレートソールが合わないという人もいるので、合わない場合はフラットソールへ変えてみると良いでしょう。
自分の走り方に合ったソール形状を選ぶことが大切
ランニングシューズの靴底の形状である、フラットソールとセパレートソールは自分自身の走り方に合ったものを選ぶことが大切です。デザインが気に入ったシューズを履いて、その靴の靴底の形状に合わせて自分の走りを変えるのではなく、自分の走り方に合った靴に変えることが大切。
もし、今現在セパレートソールを履いていてしっくりこない、足を痛めやすい、逆にフラットソールがあっていない感じがするといった場合は、自分の走り方や癖を変える前に、靴をフラットソール、セパレートソールへと変えてみましょう。