サブスリーを達成した練習メニュー大公開!わずか3カ月で3時間切り出来た方法

更新日:  著者:村木祐輔

2018年2月25日の東京マラソンで初のサブスリーを達成!挫折を味わってからわずか3か月で達成したその練習メニューを大公開します。将来的にサブスリーを目指す人、特に“もうちょっとでサブスリーだけどなにかが足りない!”という人はぜひ参考にしてみてください。

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毎回の自己ベスト更新!充実したマラソンライフ

初フルマラソンは2015年のつくばマラソン。記録は3:37:06。

目標としていたサブ3.5には及びませんでいたが、初マラソンにしては満足のいくレースでした。

そこからは走るたびに自己ベストを更新。

2015/12/6 湘南国際マラソン   3:34:06
2016/3/20 板橋Cityマラソン   3:30:25
2016/12/4 湘南国際マラソン   3:18:20
2017/3/12 古河はなももマラソン 3:08:34

この時、月間走行距離は多い月でも150kmくらい。

それでも記録は伸び続けていたのは良かったのか悪かったのか…。

約3か月の練習計画を立てて、いざ東京へ

2017年12月3日。3回目の湘南国際マラソン。これが人生初の失敗レースとなりました。

大会1週間前に風邪を引いたことで直前の最終調整も思うようにできず。レースでは前半はサブスリーペース(4:15/km)についていったものの、30km過ぎは歩いたり走ったりで、結果は3:17:32と自己ベストに遠く及びませんでした。まさに自分の力のなさを痛感してしまう大会となりました。

これを機に、次の東京マラソンに再び照準を合わせて体調管理はもちろん、練習の仕方を改めました。ベースにしたのはeA式トレーニング。これを自分なりにアレンジすることにしました。湘南のダメージの回復期間を考えると、東京マラソン(2018/2/25)までは11週と時間的には決して十分とは言えなかったので、まずは大会から逆算して下記のように期間ごとの練習メニューを考えました。

1〜7週目:走り込み期
8・9週目:仕上げ期
10・11週目:調整期

【走り込み期(1〜3週目)】スピード持久力強化

●ポイント練習
・閾値走(テンポ走・クルーズインターバル)
・ガチユル走
・ロング走

湘南で実感したのが、前半のサブスリーペースはついてはいけるが、エネルギーの消費が大きすぎること。圧倒的にスピード持久力が足りていないことを痛感しました。
そこで取り入れたのは、LTペースで走る閾値走。LTペースの詳しい説明は割愛させていただきますが、サブスリーを目指すのであればだいたい3:55〜4:00/kmのペースになります。練習メニューとしては、20分〜30分間の「テンポ走」と1600m×5本の「クルーズインターバル」(つなぎは200m jog)。これらを週2回行い、レースペースへの抵抗を払拭しました。

次に「ガチユル走」。名前の通り、ガチで走るのとユルく走るのを組み合わせた練習で、マラソン後半の持久力強化のためのものになります。

アップ後に1000m×2本をガチで走ります。ペースは3:30/kmを切る余力を残さないくらい。間は3分間の完全休息orウォークで繋ぎます。これを行なった後に休憩を入れずに7〜10kmのユルjog。ペースとしては5:30〜6:00/km、またはもっと遅くてもいいと思います。ただ、間で糖分はとらないのがポイント!レース後半のエネルギー枯渇状態を体感し、脂肪を使って走れる身体づくりが目的のため、水や麦茶はよくても、スポーツドリンクや補助食は避けてください。

3つ目は、30km以上の「ロング走」。ペース設定は5:00〜5:15/kmに設定して行いました。これの目的は言わずもがな、距離への耐性と持久力の強化です。

練習メニュー例(2週間)
jog10km jog10km
テンポ走 クルーズインターバル
休養 休養
jog10km jog10km
クルーズインターバル テンポ走
休養 休養
ガチユル走 ロング走

【走り込み期(4〜7週目)】距離を踏む!

●ポイント練習
・ロング走(レースも活用)
・LSD(レースも活用)
・閾値走(テンポ走orクルーズインターバル)
・ガチユル走(長め)

この期間は「距離を踏むこと」を一番の目的に月間走行距離300kmを目標に掲げました。ただ、距離信者にはならないように注意が必要です。距離だけを稼ぐのではなく、その練習にどんな効果があるのかを考えながら内容の濃い練習を行いました。この期間にやってよかったと思うのが、レースへの参加です。

今回は本番7週前にフルマラソン、4週前にハーフマラソンに参加しました。フルマラソンはLSD、ハーフマラソンはレースペース(またはレースペース-5秒/kmくらい)での練習目的です。どうしても一人ではだらけてしまいがちのLSDとロング走を行うために実際のレースを活用しました。マラソン会場の緊張感も体験することができますし、特にハーフマラソンは腕試しにもちょうどいいと思います。ただ、ポイントは頑張りすぎないこと!あくまで通過点です。ここで疲れを溜めすぎたり、ケガをしてはなんの意味もありません。

そのほか、3:55〜4:00/kmの閾値走は継続し、テンポ走は調子次第で40分に伸ばしました。ただ、時間は伸ばしてもペースは守り、ケガの防止を一番に考えます。

ガチユル走も長めにするといいでしょう。1000m×2本のガチ走は変えずに、ユル走の距離を2倍にして、よりレース後半のエネルギー枯渇状態に近いところを体験しました。

これらのおかげで、1月の月間走行距離は初めて300kmを超えました。シリアスランナーにとっては当たり前という方も多いと思いますが、これまで平均150km、多くても200kmちょっとくらいだった自分にとってはかなり多い数字です。反対にいうと、サブスリーを達成するのに毎月300kmとか400km以上にこだわる必要はないということだと思います。大切なのは距離よりも“濃い練習内容”と“計画性”です。距離は裏切りますが、これらは裏切らないと私は思います。

練習メニュー例(2週間)
休養 休養
ガチユル走 120分LSD
jog15km jog15km
テンポ走 クルーズインターバル
休養 休養
jog10km jog10km
レース参加
(LSD or レースペース走)
ロング走

【仕上げ期(8・9週目)】レースペースを作り上げ、刺激のインターバル!

●ポイント練習
・レースペース走
・閾値走(テンポ走)
・ロング走
・LSD
・インターバル

この期間のポイントはレースペースに身体を慣れさせること。4:15/kmの10〜12kmペース走を週に1回取り入れました。感覚的には週2回でもよかったかもしれません。
これまでの閾値走のおかげでペースは上げられるものの、それでは意味がありません。もっとペースを上げられるという気持ちを抑えて、自分でペースを作る練習を行いました。また、閾値走・ロング走・LSDも継続しました。

そして、仕上げ期のもう一つのポイントは「インターバル走」。これまでの閾値でのクルーズインターバルとは違い、身体に刺激を与える意味合いで、仕上げ期終盤に行います。メニューとしては1000m×5本。これをレースペースより1kmあたり25〜30秒速い程度。サブスリーを目指すなら3:45〜3:50/kmです。あまりに速すぎるペースは刺激が強すぎて、ケガのリスクが高まるなどかえって逆効果になることもあります。この時期はケガをせずに計画的に練習に取り組めることを一番に考えました。

練習メニュー例(2週間)
jog10km jog10km
レースペース走 レースペース走
休養 休養
jog10km jog10km
テンポ走 インターバル
休養 休養
ロング走 120分LSD

【調整期(10・11週目)】適度な刺激を与えて、疲れは溜めずに

●ポイント練習
・レースペース走
・LSD

レース本番までの2週間。この期間は疲れを溜めないことを第一に考え、練習強度を落とし、休養を増やして整体やマッサージに行って疲労抜きを行いました。

メインとなる練習はレースペース走。仕上げ期と同様、4:15/kmで10kmを週1回。また、jogを距離ではなく時間走にしたことが、気持ち的に余裕が生まれてよかったのかもしれません。5:00〜5:30/kmのゆっくりとしたペースです。

あとはレース2日前には2kmの最終刺激を3:40/kmのやや速いペースで行って体の調子を整えました。どうしても気持ち的に焦ってしまう期間ですが、この期間に無理に練習を積んでも記録はそんなに大きく変わらないと思います。身体を休めることが優先です。

練習メニュー例(2週間)
休養 レースペース走
jog60分 休養
レースペース走 休養
120分LSD jog60分
jog60分 最終刺激
休養 休養
休養 レース本番!

そのほか、本番まで日々取り組んだことは以下の通り。
・流し(ウインドスプリント)×3〜5本→フォーム確認
・プランク、ランジ、スクワット→体幹強化
・入念なクールダウン&ストレッチ→ケガ防止

余談ですが、本番1週間前からは、油物・生もの(刺し身や生野菜)・アルコール・カフェインを控えて、3日前からは炭水化物を増やすカーボローディングも行いました。どのくらい効果はあるのかは不明ですが、ルーティーンみたいなものですね。

迎えた本番!天気もベストコンディション!はやる気持ちを抑えてややネガティブスプリット気味で


迎えた2018年2月25日。運命の東京マラソン当日、心配性の私はかなり早めの現地入り。それでもすでに混雑していて、人の間を縫うように2kmのアップを行い、スタート時間に備えました。

前半はやや抑え気味の4:20〜4:25/kmで設定。スタート後は7kmくらいの下り坂だったこともあり、余裕を持って走ることができました。20km地点までの5kmごとのラップは、21:40-21:30-21:33-21:20とほぼ予定通り。ここからはややペースアップです。21:03-20:58-21:02と35km地点までは順調に到達。ここまできたらあとは気力の勝負です!正直体力的には想定よりも空っぽ!足も売り切れ寸前!!ここで思い出されるのが、NHK平昌オリンピックテーマソング、SEKAI NO OWARI「サザンカ」のワンフレーズ“ここで諦めたら今までの自分がかわいそう”!!これまでの練習を思い出しながら同じくらいのペースの人を見つけ必死でついていきました。その甲斐あって、2:59:34で初のサブスリーを達成!!フィニッシュ後は足の筋肉という筋肉が全部つって車椅子で救護室へ運ばれましたが、出し切った達成感から涙が止まりませんでした。

もちろん人によって向き不向きの練習はあると思います。ただ、私はこれでサブスリーを達成したので、ぜひ参考にしてみてください。これらをベースに自分なりに練習メニューを考えてみるのもいいでしょう。大切なのは“濃い練習内容”と“計画性”です。

村木祐輔

村木祐輔

アスリート系気象予報士。株式会社ウェザーマップ所属。秋田県出身。過去にテレビ東京で気象キャスターを務め、現在は秋田のテレビ局で気象キャスターをしています。仕事のかたわらランニングを趣味とし、2015年にフルマラソンに初チャレンジ。2018年東京マラソンで初のサブスリーを達成しました(2時間59分34秒)。ランニング終わりの日本酒が大好き!酒器集めも趣味のひとつ。

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