無駄の無い走りをするランナー

ランニングエコノミーとは?REを高めるためにトレーニングで出来る7つのこと

投稿日:  著者:RUNNAL編集部

陸上長距離・マラソンを走るランナーにとって重要となる指標がランニングエコノミー(RE)。ランナーのレベルを客観的に測る指標と言えば、VO2MAX(最大酸素摂取量)とLT値(乳酸性作業閾値)がありますが、ランニングエコノミーはそれらに次ぐ3番目に重要な指標と言われています。また、ナイキのプロジェクトであるマラソン2時間切りを目指す「Breaking2」において挑戦するランナーを選定するに当たり採用されたのがVO2MAXとともにランニングエコノミーです。

この記事では、ランナーにとって重要な数値であるランニングエコノミーとはどんなものか、またランニングエコノミーを測定する方法や数値改善のために出来るトレーニングの仕方についても紹介しています。REとはどんなものか気になっている人は是非参考にしてみてください。

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ランニングエコノミーとは

走る長距離ランナー

ランニングエコノミー(RE)とは、一定の速度で走る際に体内で消費する酸素量を示したものです。

長距離・マラソンを走るランナーは、呼吸によって体内に取り込んだ酸素を使って体内の糖質や脂肪を走るためのエネルギーへ変換しています。同じペース(速度)で走るにしても、より少ない酸素消費量で走れるランナーはより多くの酸素を必要とするランナーよりもランニングエコノミーに優れていることになります。

長距離ランナーの能力を客観的に示す重要指標にVO2MAX(最大酸素摂取量)というものがあります。VO2MAXとは、一定時間あたり(1分間)にどれだけたくさんの酸素を体内へ取り込めるかを示すもの。同じVO2MAXのランナーでも、体内へ取り込んだ酸素をいかに効率よく前へと進む推進力へと活用出来るかによってパフォーマンスは大きく違ってきます。そのため、現在はVO2MAXよりもランニングエコノミーの方が長距離ランナーのパフォーマンスの相関性は高いと言われ大きく注目される重要指標となっています。

ランニングエコノミーは車の燃費と考えると分かりやすい

ガソリンで走る車

ランニングエコノミーは車の燃費で考えると分かりやすいです。

車の燃費とは、ガソリン1ℓでどれだけ長い距離を走行出来るかを示したもの。燃費が良いと言われる車は、燃費が悪いとされる車と同じガソリンでも、より長い距離を走ることが出来ます。また、車の燃費は、車のもともとの性能だけではなく、ドライバーの運転の仕方や乗員人数や積み込む荷物によっても大きく変わってきます。

車をランナーの体とすると、ガソリンは酸素です。ランニングエコノミーに優れたランナーは、ランニングエコノミーの劣るランナーと同じ酸素消費量でも、より速いペースで走り続けることが出来ます。また、ランニングエコノミーは、ランニングフォームや体調、走行するコースによっても大きく変わってきます。

ランニングエコノミーを測定する方法

ランニングエコノミーを測定する男性

ランニングエコノミーを測定する方法は、専用施設のトレッドミルを活用します。マスクを装着したまま、一定速度で3~15分走り続け酸素摂取量(VO2)を測定し、ランニングエコノミーを評価します。

アスリート選手の場合はランニングエコノミーを専門施設で特別に測定することが出来ますが、一般市民ランナーの場合は現状のところランニングエコノミーを気軽に測定できるところはありません。

ランニングエコノミーをガーミンウォッチで確認する方法

ランニングウォッチを活用する男性

市民ランナーがランニングエコノミーを測定する場合に参考となるのがガーミンのランニングウォッチを活用する方法です。ガーミンウォッチを使ってランニングエコノミー自体を測定出来るわけではありませんが、ランニングエコノミーの改善具合を確認することは可能です。

ランニングエコノミーが改善すると、同じペースで同じ距離を走る時に上下動が少なくなり、接地時間も短くなり、左右バランスも良くなる傾向にあります。ガーミンウォッチのランニングダイナミクス機能はこれらを測定することが出来るので、ランニングエコノミーの改善具合を確認することが出来ます。

ランニングエコノミーを高めるためにトレーニングで出来る7つのこと

①ランニングキャリアを地道に積み重ねる

ロードを走るランナー

ランニングエコノミーを高めるためには、まずはランニングキャリアを積み重ねる必要があります。ランニングエコノミーは一朝一夕に改善出来るものではありません。ランニングエコノミーを改善し、少ない酸素量で効率よく走れるランナーになりたければ地道に走り続けていく必要があります。

RE改善へ向けて地道に走り続けるべき理由は、タイプⅡa型筋線維を増やすためです。私たちの骨格筋は大きくタイプⅠ型筋線維とタイプⅡa型筋線維、タイプⅡb型筋線維に分けることが出来ます。タイプⅠ型は遅筋と呼ばれるもので収縮速度が遅く長時間の運動に適した筋肉。タイプⅡa型は中間筋で遅筋と速筋の両方の特性を持つ筋肉。タイプⅡb型は速筋と呼ばれるもので収縮速度が速く瞬発力を要する運動に適した筋肉。

生まれつきタイプⅠ型(遅筋)が多い人はそうではない人に比べランニングエコノミーに優れる傾向があります。逆にタイプⅡ型が多い人はその逆。しかし、速筋は有酸素運動を続けることで遅筋に近い中間筋へと移行していく特性を持つので生まれながらに速筋が多いタイプの人でもランニングキャリアを積み重ねることで生まれながらの長距離タイプのランナーへと生まれ変わることが出来るのです。

②月間走行距離を増やす

距離を走り込むランナー

ランニングエコノミーを改善するためには、ランニングフォームをいかに無駄の無いものへと改善することが重要と言われています。しかし、この脚の使い方、この腕の使い方がランニングエコノミーに優れた走り方だというスタンダードとなる走り方は存在しません。個々のランナーによって体格はもちろん手足の長さ、そのほかにも挙げればキリがないほどに個々の体に違いがあります。

そのため、自分にとって最高に無駄の無い走り方というのは走り続けることで見つけていくしかありません。私たちの体は走り続けることでうまい具合に自分に合った走り方を習得できるようになっています。そのため月間走行距離を増やしていけば自然とランニングフォームは洗練され、ランニングエコノミーの改善へとつながっていきます。

③インターバル走(レペティション)をする

トラックでインターバル走をするランナー

ランニングエコノミー改善にインターバル走レペティションも効果的。

ゼーゼーハーハーと息が切れる中取り組むインターバル走やレペティションは体内にたくさん酸素を取り込む能力であるVO2MAX(最大酸素摂取量)を向上させるのに効果的なトレーニングですが、ランニングエコノミー向上にも効果的です。ランニングエコノミーは色々な要因が複雑に絡み合っているのですが、心肺効率もその要素の一つ。酸素を効率よく取り込み、その酸素をいかに効率よく全身へと送り出せるかでREの良し悪しが変わってくるので心肺を追い込むトレーニングも定期的に取り組むのがオススメ。

④体幹を鍛える

体幹を鍛える男性

走る時に無駄の無い良い走りをするためには、体幹を鍛えておくことも大事です。

ランニング中は通常の歩行と違って空中に浮いている、片足立ちの状態が多くなります。体幹が弱いと走っている時に体が左右にぐらついてしまうために無駄なエネルギーを消耗し、ランニングエコノミーの低下につながります。そのため、プランクのような体幹部を鍛える自重トレーニングを取り入れてみるのがオススメです。

⑤体重を落とす

体重を測る人

体重を落とすこともランニングエコノミーの改善に効果的です。

重たい車は軽い車に比べて燃費が悪くなるように、ランナーの場合も体重が重たいとランニングエコノミーが悪くなりがちです。オリンピックや世界陸上を見てみると分かりますが、短距離選手ではたくましい筋肉が付いた体重の重そうな選手が多い一方、長距離選手ではスラッとした体重の軽そうな選手が多いです。

⑥ストライドを伸ばす

ストライドを伸ばすランナー

ストライドを伸ばすのもランニングエコノミーの改善に効果的。

同じ距離を走る場合、ストライドが短いとその分だけ着地回数が多くなり、地面との接地時間も多くなります。すると、前へと進む推進力を止めるブレーキがかかる回数、そして上下動も大きくなりランニングエコノミーが低下してしまいます。そのためストライドは大きい方がランニングエコノミーの点では有利です。ただし、無理にストライドを伸ばそうとすると逆にランニングエコノミーの低下につながるので、脚力の向上とともに自然とストライドが伸びていきランニングエコノミーも向上していくというのが理想です。

⑦プライオメトリクストレーニングを取り入れる

プライオメトリクストレーニングをする人

プライオメトリクストレーニングを取り入れるのもオススメ。

プライオメトリクストレーニングとは、多くのアスリートが採用する瞬発力系トレーニングです。代表的なものはボックスへと両足を揃えてジャンプするボックスジャンプ。プライオメトリクストレーニングに取り組むことで筋肉の動きをよりスピーディーに改善することが出来ます。

長距離走ではあまり瞬発系は関係ないと考えてしまいがちですが、長距離走でも着地してすぐに地面を蹴り体を前へと押し出すという瞬発的な動きをずっと繰り返しています。そのためプライオメトリクストレーニングで筋肉の動きを改善することが出来れば着地から地面を蹴るまでの動きがスムーズになり接地時間が短くなりランニングエコノミーの改善へとつながるのです。

ランニングエコノミーを改善してマラソンのタイム向上につなげよう

マラソンを走るランナー達

長距離・マラソンを走るランナーにとってランニングエコノミーは非常に重要な指標です。同じVO2MAXのランナーでもランニングエコノミーの良し悪しによって大きくタイムは変わります。そのため、マラソンのタイム向上のためにランニングエコノミーを意識してトレーニングに取り組むことは重要です。もちろん一朝一夕にランニングエコノミーを改善出来るわけではありませんが、地道にトレーニングを積み重ねていけば必ず良い方向に改善出来るはずです。

RUNNAL編集部

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