秋冬のマラソンシーズンに初めてフルマラソンに挑戦するなら、目標完走タイムは5時間切り(サブ5)に設定してみるのがおすすめです。サブ5は、42.195kmを7分7秒ペースで走り続ける必要があり、フルマラソン初心者にとってはやや難易度が高く感じるかもしれません。しかし、実際のフルマラソンの大会では、多くの市民ランナーが5時間未満での完走を達成しているため、フルマラソン初出場の男性ランナーでも女性ランナーでも十分に狙えるタイムです。
今回の記事では、初めてフルマラソンへ参加する人が、サブ5(5時間切り)を達成するためのマラソン練習・トレーニング方法を詳しく紹介しています。フルマラソンは初めて、そもそもマラソン自体が初めてという人でも、本番当日までにしっかりと練習を重ねることにより、完走時間5時間未満でのゴールが見えてきます。フルマラソン本番へ、どんな練習をしたら良いのか、どんなペースで走ったら良いのか、マラソン練習のやり方に悩んでいるという人は是非参考にしてみてください。
目次
サブ5とは
フルマラソンのサブ5とは、フルマラソン(41.915km)を5時間未満の完走タイムでフィニッシュすることです。完走タイム4時間30分00秒から4時間59分59秒がサブ5となります。全国各地で開催されるフルマラソン大会の制限時間の多くは6時間に設定されています。その制限タイムより1時間早くゴールするのがサブ5で、初めてのフルマラソンを走る初心者ランナーの目標完走時間となることが多いです。
サブ5達成の難易度
フルマラソンでサブ5(5時間切り)を達成するランナーは、男性ランナーは「上位65~70%」、女性ランナーは「上位45~50%」です。完走者の全体で見て、半分以上の人は5時間未満でゴールしているので、難易度としてはそれほど高くありません。初のフルマラソンでも十分に達成出来るレベルです。
男性の場合はハードルはそこまで高くありませんが、女性の場合は半分以上は5時間以上かかっているので結構高いハードルです。もちろん、男性の場合も練習無しで5時間切りを達成できるほど簡単なものではありません。達成するためには最低限の練習に取り組む必要があります。
サブ5達成のためのペース
フルマラソン大会本番でサブ5(5時間切り)を達成するためのペースは、「7分7秒/km(時速8.44km)」です。このペースを最初から最後まで維持し続けることで、ギリギリ5時間を切る4時間59分59秒でフィニッシュラインを駆け抜けることが出来ます。
ただし、長丁場となるフルマラソンでは、途中でトイレに行ったり、給水所でスポーツドリンクや水で水分補給をしたり、エイドステーションでおにぎりやバナナを食べたりとするので、必ず5~10分のロスタイムが発生します。また、初めてのフルマラソンで最初から最後まで同じペースで走り続けることは難しいです。大抵の場合、前半のペースに比べて、後半のペースが落ちます。特に中間地点(ハーフマラソン)を過ぎたあたり、30km過ぎあたりからガクッとペースが落ちてしまいます。
そういったロスタイムやペースの落ち込みを考慮すると、サブ5を達成するにあたり「キロあたり6分50秒~7分」で走るのが本当の適正ペースとなります。本気でサブ5を目指すなら、4時間50分切りのペースである6分50秒で本番当日走れるように日々の練習でそのペースを意識づけしておくことが重要です。
サブ5を達成するための練習・トレーニング方法
- 基礎体力作り
- 走ることに慣れる
- フルマラソンを完走する持久力をつける
- サブ5のペース感覚を養う
- スピードを底上げする
フルマラソンで5時間を切るためには、段階を経て練習をしていくことが大切です。特にランニング・マラソン初心者の場合は、いきなり速いペースで走る練習や長い距離を走る練習から取り組むのではなく、運動する習慣を作り、走るための足を作り、完走するためのスタミナを作り、サブ5ペースで走る感覚を磨くといったように段階を踏んでいくことが大切です。
①基礎体力作り
初めてのフルマラソンでサブ5を目指す場合は、まずは「基礎体力」を作ることが大切。ハーフマラソンや10キロマラソンの経験があるランナーなら、基礎体力作りの期間は不要ですが、ランニング・マラソン初心者の人はまずは1カ月程度は基礎体力を作っていきましょう。
30~60分ウォーキング
長く走り続ける体力を作るためには、まずは長く歩き続ける基礎体力をつけることが大切。初めてのフルマラソンが初めてのマラソン挑戦という場合は、まず最初の1カ月間は「30~60分のウォーキング」がおすすめ。ウォーキングは、基礎的な足腰を鍛える、心肺機能を鍛える、有酸素運動能力を磨くのに効果的です。どれも走る上で基礎となる能力です。
最初は30分ウォーキングから始めて、徐々に45分、60分へと歩く時間を伸ばしていきましょう。歩くことから始めることで、ランニング初心者にありがちな膝や股関節、足部を痛めるのを予防することが出来ます。
②走ることに慣れる
ウォーキングで基礎体力を作ったら、次は走ることに体を慣らしていきます。まずは、週3日走れる体を作っていきましょう。
30分~45分ジョギング
走りはじめはジョギングがおすすめ。特に走るペースを意識する必要はありません。サブ5のペースよりもずっと遅くても大丈夫。走る距離も気にせず、30~45分という時間だけを意識してジョギングしましょう。ここでは、まずは走る体を作る、週3日走ることに慣れることが目的なので、ペースはかなり遅くて大丈夫。足が痛くならないように、モチベーションが下がらないように、心地よいペースを意識して走りましょう。
③フルマラソンを走り切る持久力を作る
週3日走るようになったら、次はフルマラソン(42.195km)を走り切る持久力を作っていきます。サブ5を達成するためには、まずは完走するための持久力が必要。ただし、20kmを超える距離を走る必要はありません。初めてのフルマラソンでは、最長で20kmまでで大丈夫です。マラソン初心者が練習で20kmを超える距離を走ってしまうと、本番当日に疲労が残り悪影響が出る可能性が高いです。
60分~120分LSD(キロ8分~9分)
フルマラソンを走り切るためのメインとなる持久系トレーニングは、LSD(ロングスローディスタンス)という練習方法。LSDはゆっくりとしたペース(キロ8~9分)で長い時間(60~120分)走る練習です。この練習で、フルマラソンを完走するための脚力、スタミナを鍛えることが出来ます。この練習はゆっくりと走ることで効果が出るので、ペースは本番のペースよりもずっと遅いキロ8~9分で大丈夫です。
10km~15kmランニング(キロ7分30秒~7分)
時間を意識して走るLSDに対し、距離を意識して走る10~15kmランニングもLSDと平行して取り組みましょう。距離を決めて走ることで、長い距離を走る自信をつけることが出来ます。この練習はLSDよりは速く、だけど本番のペースよりは遅く、最初から最後まで快適に走れるペースで取り組みましょう。目安としてはキロ7分30秒~7分。もちろん、最初から15キロで取り組むのではなく、最初は10キロから、または8キロから取り組み徐々に距離を伸ばしていくと効果的です。
④サブ5ペースで走れるペース感覚を養う
本番で5時間を切るタイムで走るなら、練習でそのペースで走っておく必要があります。目標タイムを達成するためには、同じペースで走り、そのペース感覚を養っておくことが大切。サブ5を狙うなら、「おすすめ6分50秒(ギリギリ7分7秒)」のペースを体で覚えておくことが大切。
10~15kmペース走(キロ6分50秒)
ペース感覚を養う上で欠かせないのが「ペース走」という練習方法。ペース走は、一定のペースで走る練習で、ペース感覚を身に着けることが出来ます。さらに、6分50秒のスピードを維持するスピード持久力、心肺機能、スタミナを鍛えることが出来ます。ペース走は10~15キロに設定し、ペースはもちろん6分50秒で設定します。本番前までに、15kmペース走(出来れば20kmペース走)を6分50秒で、ある程度の余力を残して取り組めたら、本番でサブ5を達成がグッと近づきます。ペース走は10キロぐらいから徐々に距離を伸ばし、徐々に目標の6分50秒へと近づけていくイメージで取り組むと良いでしょう。
⑤スピードを底上げする
通常、サブ5を達成するためには、LSDをメイン練習にして、ペース走でペース感覚を養うので十分。ただし、よりサブ5達成を確実なものにしたい、過去にサブ5を達成できなかったという方は、スピードを底上げする練習にも取り組んでみると良いでしょう。
10kmビルドアップ走(キロ7分→キロ6分)
スピード練習と言えば、きついインターバル走が有名ですが、サブ5を目指す上でインターバル走は不要です。サブ5達成へ向けてスピードを底上げする練習として、ビルドアップ走がおすすめ。ビルドアップ走は、走り出してからゴールまで徐々にペースを上げていく練習です。10kmビルドアップ走で、最初の3kmは「7分ペース」、次の3kmは「6分40秒ペース」、次の3kmは「6分20秒ペース」最後の1kmは「6分ペース」といった具合にペースを上げていきます。この練習は心肺機能の向上に効果的で、この練習に取り組むことで「6分50秒」というペースが楽に感じられるようになります。また、ある程度体力に自信がある、まだまだ年齢が若いという人も最低でも3カ月前には練習に取り掛かりましょう。1カ月前からの練習はほとんど意味がありません。
初のフルマラソン、サブ5を目指す練習計画例【6カ月・3カ月】
本気でサブ5を目指すなら、フルマラソン大会の半年前(6カ月前)から練習に取り組むのがおすすめ。特にマラソン初心者は短い期間でフルマラソンを走る練習に取り組むと無理をして足を痛めてしまう可能性が高いです。また、サブ5ペースで42.195kmを走り続けられるだけの練習量をこなせず、本番の中間地点や30キロ過ぎに足が動かなくなってギリギリ完走出来るか関門で引っ掛かりリタイアせざるを得ない状態になってしまいます。
6カ月練習計画例
半年でサブ5を目指す場合は、ウォーキングからじっくりと取り掛かるのがおすすめ。いきなり15kmのような長い距離を走るのではなく、徐々に走る距離を長く、徐々に走るペースを速くしていくといったやり方が良いでしょう。また、毎日走る必要はなく中1~2日程度の休みをもうけ、適度に足を休ませるようにしましょう。サブ5を目指す練習は基本的にゆったりと走ってスタミナを磨く、LSDやジョグが中心となります。
6カ月計画の前半
1カ月目 | 2カ月目 | 3カ月目 | |
---|---|---|---|
月 | 30分ウォーキング | 30分ジョグ | 60分LSD |
火 | 休み | 休み | 休み |
水 | 30分ウォーキング | 30分ジョグ | 60分LSD |
木 | 休み | 休み | 休み |
金 | 休み | 休み | 休み |
土 | 45分ウォーキング | 45分ジョグ | 10kmランニング |
日 | 休み | 休み | 休み |
6カ月計画の後半
4カ月目 | 5カ月目 | 6カ月目 | |
---|---|---|---|
月 | 60分ジョグ | 60分ジョグ | 60分ジョグ |
火 | 休み | 休み | 休み |
水 | 90分LSD | 90分LSD | 120分LSD |
木 | 休み | 45分ジョグ | 60分ジョグ |
金 | 休み | 休み | 休み |
土 | 10kmペース走(7分5秒ペース) | 15kmペース走(7分5秒ペース) | 15kmペース走(6分50秒ペース) |
日 | 休み | 休み | 休み |
3カ月練習計画例
フルマラソン本番まで残り3カ月で取り組む場合は、ウォーキングからじっくりと取り組んでいる時間はないので、LSDやジョグを中心に練習を組んでいきます。基本的に週3日のランニングです。また、若い人や体力に自信がある人はサブ5を確実にするために、またはサブ4.5も射程圏内にするために練習日を週4日に増やしても良いでしょう。
1カ月目 | 2カ月目 | 3カ月目 | |
---|---|---|---|
月 | 60分LSD | 10kmランニング | 10kmランニング |
火 | 休み | 休み | 休み |
水 | 60分LSD | 90分LSD | 120分LSD |
木 | 休み | 休み | 休み |
金 | 休み | 休み | 休み |
土 | 10kmペース走(7分5秒ペース) | 15kmペース走(7分5秒ペース) | 15kmペース走(6分50秒ペース) |
日 | 休み | 休み | 休み |
サブ5を目指して頑張ろう
マラソン初心者が練習なしで本番ぶっつけでサブ5を達成するのは難しいですが、事前に6カ月、最低でも3カ月練習を重ねることで、初めてのフルマラソンでも5時間切りを達成できる可能性は高いです。男性に比べると女性の場合はサブ5達成の難易度は上がるものの、フルマラソンを走る女性ランナーの半数は5時間以内でゴールしているので、達成できる可能性は十分にあります。そのため、マラソン大会当日まで、残り時間を有効に使ってトレーニングに励みましょう。
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