山道を爽快に駆ける「トレイルランニング(トレラン)」が今人気。ロードを走るランニングには無いたくさんの魅力がトレランには詰まっています。普段のランニングやマラソン大会に飽きてきた人も、トレランだったらきっと新しい楽しさを見つけられるはず。この記事では、これからトレランを始めようとしているトレラン初心者向けに、山を走る魅力と正しい始め方について紹介しています。
また、トレイルはランナーだけではなく、ハイカーや観光客も利用する道。みんなが気持ちよく山を楽しめるように、トレイルランナーが最低限知っておきたい山のマナーについても紹介しているので、そちらも是非参考にしてみてください。
目次
トレランとは
トレイルランニング(トレラン)とは、登山道や林道など自然歩道を走る陸上競技のことです。トレランは欧米で人気のスポーツで、日本でも2000年代から人気が高まり、今では全国各地でトレイルランニングの大会が年間300大会以上開催されるなど、人気のアウトドアスポーツとして定着しつつあります。登山経験者やマラソン経験者が、その次のアクティビティとしてトレランへ挑戦するムーブメントがあり、今ではトレランの競技人口は20万人を超えるまでに至っています。
トレランの魅力
絶景に出会える
トレランの魅力は、普段では見れないような絶景に出会えること。特に頑張って山頂へ登った時に見える360度の大パノラマや遠くまで見渡せる眺望は絶景。その景色を楽しみに山頂を目指して頑張るトレイルランナーは多いです。
非日常感を味わえる
山へ一度足を踏み入れると、そこには都会の暮らしにはない、非日常的な世界が広がっています。綺麗に咲き誇る植物、山に生息する動物、木々の間から差し込む幻想的な光、澄んだ空気、綺麗な景色など。こういった非日常的な空間に魅了されること間違いありません。
四季の移り変わりを満喫できる
都会で暮らしていると、気温の変化以外に四季の移り変わりを感じることは意外と少ないです。山へ入れば、そこには日本の美しい四季の移り変わりを感じられる景色が広がっています。ピンク色に咲き渡る春の桜、緑に包まれた初夏の新緑、赤く染まった秋の紅葉、白銀の世界である冬の雪化粧。その時期でしか見れない景色を堪能出来ます。
大自然を駆け抜けていく気持ちよさ
山の魅力は登山やハイキングでも堪能出来ますが、大自然を颯爽と駆け抜けていく気持ちよさはトレランにしかない最大の魅力。特に下りをかなりの速いスピードで駆け降りていくのはトレランの醍醐味。下りの魅力に取りつかれてトレランにどっぷりとハマる人は多いです。
ロードには無いスリル感
未舗装の道を走るトレランは舗装されていて走りやすいロードに比べて注意しておくべきことが多いです。つまづきやすい木の根や滑りやすい砂利道、足をとられるぬかるんだ道など、トレイルでは様々な障害があります。時には川を渡ることも。そんな危なかったしい道を走るからこそ、ロードにはないスリル感を味わることが出来るのです。このスリル感が多くの大人の冒険心をくすぐっています。
充実した達成感
トレランははっきり言ってきついです。歩きでも疲れるようなところを走るので、トレランを終えたころには疲労感が半端ない状態に。でも、だからこそ走り終えた後の充実感や達成感はロードを走り終えた後の何倍にもなります。走っている時は「きついな」と感じることも多いですが、走り終えた後は充実感から「また絶対やりたい」と思えるはず。
トレランはマラソントレーニングにも効果的
トレランは、ハーフマラソンやフルマラソンを走るマラソンランナーのトレーニングに効果的です。不安定な不整地を走るトレランでは、体幹を鍛えることが出来ます。さらに心肺機能や脚力を効果的に鍛えることが出来るので、山を走ることでロードでの走りが圧倒的に楽に感じるようになります。
特にアップダウンが当たり前のように続くトレイルで走ることに慣れてしまえば、マラソン大会で出くわすアップダウンなんか大したことはありません。さらに山では山を駆けのぼったり、急な斜面で歩いて上ったり、下りを一気に駆け降りたりと良いインターバルトレーニングとしての効果もあるので、レース中に訪れるペースのアップダウンにも強くなります。
トレラン初心者のためのトレイルランニングの始め方
①必要なものを準備する
トレランを始めたいなら、まずは必要なものを準備しましょう。トレランを始める上で欠かせないものは、不整地でも走りやすいトレランシューズ、速乾性に優れるウェア、食料や水を持ち運ぶザック(バックパック)、急な天候の変化による雨に備えた雨具(レインウェア)、万一の怪我に備えた救急セット、現在地を確認出来る地図、クマよけになる熊鈴といったもの。
それら以外にも防寒具としてウインドジャケットや手袋、夜間トレランに備えたヘッドライト、日よけのキャップなど様々なトレラン用アイテムがありますが、山へ入ってみる中で必要なだと思ったものを少しずつ買い足していけば大丈夫。最初は本当に必要なものだけを準備しておくと良いでしょう。
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②山を走る体力を作る
トレランを始める上で最初は体力を作ることが大切。ロードでランニング経験がある人は必要ありませんが、登山経験者で走る経験は無いといった人は、平地で10kmぐらいは走れることを目標にジョギングを始めてみましょう。いきなり最初から山を走るというのは大変なので、長時間走る基礎的なスタミナは平地で養っておく必要があります。
③山の知識を学ぶ
登山経験者であれば山の知識は十分備えていますが、ロードからトレイルへ移行する人は山の知識が無いので、最初は山登りの基礎的な知識を習得しておきましょう。山の知識を身に着けるためにも、登山初心者向けの書籍や雑誌に目を通し、実際に山を登ってみるのがおすすめです。
④初心者が走りやすい山・コースを選ぶ
山を走るための体力、そして山の知識を身に付けたら、次はトレランへ挑戦するためのコースを決めます。初のトレランは出来るだけハイキングコースとして人気のある、関東の「高尾山」、関西の「六甲」といった辺りがおすすめ。ハイカーに人気がある山は、初心者でも走りやすい登山道があり、標識があり、登山者やトレイルランナーも多いので、道に迷う心配もなく、安心して走ることが出来ます。
⑤トレランを思う存分楽しむ
トレランの準備が全て済んだら、あとは思いっきりトレランを楽しむのみ。トレランはロードで走る時に比べて転倒や捻挫のリスクが高いので、そこには注意しておきましょう。しっかりと周辺に注意しつつも、大自然を駆け抜けていくトレランを思う存分楽しんでください。
⑥トレラン大会へ参加してみる
トレイルランニングの楽しさにハマったら、レースへ出てみるのもおすすめ。マラソン大会のように、トレランにも大会があります。大会は中上級者向けの30~50kmのミドルコースや50kmを超えるロングコースだけではなく、初心者向けの10~30km程度のショートコースもあります。大会へ出て多くのトレイルランナーと走り、地元の人のおもてなしを受けることで、もっとトレランが楽しくなるはずです。
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トレラン初心者が絶対に知っておきたい山のマナー
トレイルランニングを始める上で絶対に欠かせないのが「山のマナー」を知っておくこと。特にロードからトレイルへと移行するマラソンランナーは、山の知識に疎い。トレイルランナーのマナーが悪いと、トレランへの風当たりが強くなり、走れるコースや大会の減少へとつながっていくので、絶対にマナーは守るようにしましょう。
すれ違う時は挨拶をする
山で誰かとすれ違う時は「こんにちは」と挨拶をするのが基本です。これはハイカーもトレイルランナーも同じ。挨拶をするのは単なる習慣としてだけではなく、万が一遭難してしまった時に誰かに自分のことを覚えてもらっておいて、捜索の時の手がかかりにもなります。
登りも下りもすれ違う時は徒歩ですれ違う
前の人を追い越す場合は、走って追い越すのはNG。必ず歩いて「お先に失礼します」、「先に失礼します」などと声を掛けて追い越すのが基本です。走って追い抜くと、追い抜かれた側はビクッとしてしまいます。登山道は狭いので、走って追い越すとぶつかる危険性もあります。登山者に迷惑を掛けないためにも、前にハイカーを見つけたら歩いて、安全を確かめた上で追い越すようにしましょう。
登り優先なので下りの時は道を譲る
山では下りの人よりも登りの人が優先です。下りと登りでは登りの側の方がキツイので、余裕のある下りの人は登ってくる人に配慮するのが基本。下りを走っている先に登ってくる人が見えたら、歩くのはもちろんのこと、道を譲ってあげましょう。
道を譲ってもらったらお礼を言う
山で道を譲ってもらったら「すみません」「ありがとうございます」とお礼を言いましょう。間違っても、「遅いから譲って当然!」と何食わぬ顔で走っていくのはダメ。わざわざ脇へそれて道を譲ってくれたので、しっかりと感謝の意を伝えることが大切です。
熊鈴を持っておくと良い
山を登っていると、意外と後ろから来る人の存在に気付きにくいです。体力的にキツイので、後ろから来る足音になかなか気づかないのです。そんな時に突然後ろからランナーに声を掛けられるとびっくりします。もちろん、追い越す時は声掛けをするのが良いのですが、それが突然すぎると相手を驚かせてしまうという話です。そうならないためにも、熊鈴を持っておくと良いです。熊鈴があれば、早い段階でトレイルランナーの存在を知ってもらうことが出来ます。
登山道を大事にする
登山道は大事にすることが大切。トレランをする時はトレイル以外に足を踏み入れないようにしましょう。トレイルの脇には綺麗に咲く花がたくさんあります。そういった花を踏みつぶしてしまうと、せっかくの気持ちい登山道も台無しです。また、「自然破壊」と批判の対象にもなってしまうので、ハイカーと同じく登山道をちゃんと走るようにしましょう。
ゴミは必ず持ち帰る
ゴミは必ず持ち帰ることが大切。間違ってもトレラン中に飲み干したジェルのゴミをトレイルに捨ててはいけません。また、走りながらエネルギー補給をしているとついつい落としてしまうこともありますが、その際は危険性が無い限り引き返して拾って持ち帰るようにしましょう。
トレランの全ての準備が整ったら、あとはトレランを楽しむのみ!
トレランを始めるために必要な靴や服を揃え、走る基礎的な体力と山の知識・マナーを身に付けたら、あとは山を走るのみ。トレランは頑張って山頂までたどり着くことで絶景に出会え、山の中で走るだけでも非日常感を味わえ楽しめる、そしてゴールを迎えた頃には最高の達成感が待っています。是非、大自然を掛けるトレイルランニングを楽しみましょう。