夏のマラソン練習と言えば、市民ランナーの間では走り込みが定番になっている場合が多いです。確かに、夏の時期は秋冬のマラソンシーズンへ向けてスタミナを養う重要な時期です。この時期の取り組みが、秋冬のハーフマラソンやフルマラソンの結果を大きく左右するといっても過言ではありません。サブ4やサブ3.5、サブ3などの明確な目標を持っているなら尚更です。
しかし、夏の暑い時期に月間走行距離を大きく増やすような走り込みをするのは大変です。気温の高い中だとどうしても体力を大きく消耗するので、普段と比べて走るペースも落ちてしまいがちです。そんな夏のマラソントレーニングでは、ちょっとした工夫が必要です。この記事では、その工夫とともに、夏のマラソン練習で注意しておきたい点について紹介しています。是非参考にしてみてください。
目次
夏は秋冬マラソンへ向けたスタミナ強化期間
秋冬のマラソンシーズンでベストタイムを記録するために練習をしているランナーにとって、6月から8月の夏の期間はマラソンを走るスタミナを強化する重要な期間です。この時期に、長時間動ける体、長距離を走るスタミナを鍛えておくことで、9月から11月の秋に質の高いペース走が出来、11月から3月のマラソンシーズンで良い結果を出すことが出来ます。
スピードに自信が無いというランナーは夏にトラック種目に取り組みスピードを養うという方法もありますが、サブ3やサブ4を狙うなら夏にスタミナのある脚力を鍛えておきたいところ。市民ランナーは、スピードよりもスタミナがないために、30km過ぎで失速し、サブ3やサブ4を達成出来ないというランナーが多いので、夏のスタミナ強化は必須です。
また、実業団のマラソン選手や箱根駅伝を目指す大学生も夏は走り込みによってスタミナを重点的に鍛えるメニューをこなすといった場合が多いです。秋冬のレースへ向けてトレーニングをする場合、その5~6カ月前にあたる夏の時期は丁度スタミナを養う期間に当たるので、目標が明確なランナーほど夏はスタミナを鍛えることを意識しましょう。
スタミナを強化したい、でも夏の走り込みはつらい
夏にスタミナを強化するためには、単純に考えれば、夏に走り込むというのが一番。プロのマラソンランナーや一流の駅伝選手もこぞって夏は距離を踏んでいるので、夏は他の季節に比べて長い距離・時間走るようにすればいい。でも、当たり前のように日中に30度を超えるような夏の時期に月間走行距離を増やすというのは簡単ではありません。夏は暑さによるダメージが大きいので、普段と同じペースで同じ距離を走っても、その疲労度はけた違い。なので、一般的には夏になると、走るペースは落ちてしまい、月間走行距離も落ちるのが普通です。
夏トレは暑さによるダメージを抑える工夫が大切
夏のマラソントレーニングで、暑さがつらいのを我慢して、走り込むというのはオススメ出来ません。夏は気温が高く、普通に外に立っているだけでも体力を消耗します。秋冬と同じように走れば尚更体力を大きく消耗します。夏は走ると「頑張った気がする」ので、なんとなく体力がついているような気がします。ですが、暑さを我慢して走っても、特別体力がつくわけではなく、暑さに耐えられる精神力が養えるぐらいです。暑い中我慢して走るのはあまり効率的な練習ではなく、むしろ体へのダメージが大きいので逆効果になってしまうこともあります。
そのため、夏の時期のマラソン練習ではちょっとした工夫が必要。その工夫とは、暑さによる体へのダメージを減らしつつも、しっかりとスタミナ強化を図っていくという工夫です。
夏のマラソントレーニングで実践したい6つの工夫
①涼しい時間帯に走る
夏場のランニングは、走る時間帯選びが凄く重要です。真夏のお昼から夕方の時間帯は最高気温が40度に迫ることも珍しくありません。そのような気温が高い中で走ると、熱中症にかかるリスクが高くなります。でも、太陽がまだ昇る前や太陽が沈んだ後は日中に比べて気温が低いので、トレーニングとして走ることが可能です。
特に一日の中で一番気温が低いのが、早朝の太陽が昇る前。夏場でも涼しく感じられ、快適に走ることが出来ます。夏にLSDやロング走など、しっかりと走り込んでおきたい場合は、早起きをして早朝に走るようにしましょう。
②朝と夜の2部錬にする
夏は早朝や日没後は日中に比べて気温が低いと言えど、他の季節に比べて暑さがこたえるのは事実。そのため、早朝や日没後など時間帯を選んで走っても、長い距離を走るのが苦しいこともあります。また、「そんなに朝速く起きれない」「夜もあまり時間が無い」という忙しいランナーの場合は、朝と夜で練習を2回に分ける2部錬にすると良いです。
1日20kmを走りたい場合は朝に10km、夜に10kmを走ると良いでしょう。そうすることで、1回あたりの走行距離を伸ばしづらい夏場でも、しっかりと1日当たりの走行距離を伸ばすことが出来ます。夏場に暑さが辛くて月間走行距離が落ち込むというランナーは、2部錬に取り組んでみましょう。
③トラック練習をする
毎日のようにロードを走っているランナーは、夏の時期こそトラックを走ってみるのがオススメです。陸上競技のトラック種目で使われるタータントラックは、1周400mの周回コース。10km以上の距離を走るのは精神的につらいですが、短めのペース走をしたり、インターバル走をするには好都合な場所です。夏場は、ポイント練習としてトラックへ行って、5kmから8km程度の短いペース走や1kmのインターバル走をしてスピードを強化するというのも有り。また、休憩を挟んで、5kmペース走を2~3回することで、良いスタミナ強化の練習にもなります。
春夏はトラックシーズンの真っ最中。陸上競技場へ行けば、学校の陸上部で走り込む学生さんと遭遇する可能性も高いです。学生と同じ場所で練習することで、きっと良い刺激も貰えるはずです。
④山を走る
夏の暑さを避けて、長時間トレーニングしたいなら、山へ走りに行くのがオススメ。山は低山であっても、平地に比べると涼しいです。気温が下がるのはもちろん、木陰が多いので、夏も涼しく過ごすことが出来ます。
山を走るトレランは、心肺機能や脚力を鍛えるのに効果的。山を走ることで、マラソンを走る力をつけることが出来るので、マラソンシーズンが終わると、トレイルランニングを始めるランナーが増えます。トレランは、景色の変化があり、路面状況に注意しながら走らなければいけない、またずっと走っているわけではないので、3~4時間ぐらいであればあっという間に時間が経ってしまいます。そのため、長時間動き続けるスタミナを鍛えるのに効果的。夏は山でスタミナを鍛えましょう。
⑤自転車に乗る
夏はランニングと自転車を組み合わせるのもオススメ。自転車は風を感じながら走ることが出来るので、ランニングに比べて夏でも気持ちよく取り組むことが出来ます。気温が高く長時間走れないような時はランニングの時間は短めにして、自転車に乗って心肺や脚を追い込むと良いです。
⑥水泳をする
夏のうだるような暑さに体が堪えたら、プールへ行って泳ぐのがオススメ。夏でも快適に取り組める有酸素運動と言えば、水泳。水泳は冷たい水の中で過ごすので、暑さとは無縁。猛暑日でも、ジムや市民プールで泳ぐことで、スタミナの維持や心肺機能の強化を図ることが出来ます。また、水の中で過ごすのは疲労回復にも良いと言われているので、夏ランで疲れが溜まっている時にはアクティブレストとして水泳に取り組むのもオススメです。
夏のマラソントレーニングにおける注意点
注意点①暑い時間帯を避ける
夏のマラソントレーニングでは、暑い時間帯を避けることが大切です。春・秋・冬といった季節はお昼に走っても問題ありませんが、30度を超えるのが当たり前の夏場の昼間に走るのは絶対に避けるべきです。暑い時間帯のランニングは、脱水症状や熱中症を引き起こす可能性が高いので、夏場の10時から16時の時間帯は避けたいところ。夏に1時間以上走るなら、早朝や日没後を選ぶようにしましょう。
注意点②こまめに水分補給する
脱水症状や熱中症を防ぐためにも、夏場は普段以上に水分補給を意識しておきたい。走る前の水分補給はもちろん、走っている最中も汗で失った水分を補給することが大切です。喉が渇いたと感じた時には既に遅いので、喉が渇く前にこまめに水分を補給しておきましょう。水分の摂り忘れを防ぐためにも、20~30分おきに水分を補給するといったルールを決めて走るようにすると良いです。水だと、汗で失ったミネラルやエネルギー源である糖質は補給出来ないので、ミネラルと糖質を同時に補給出来るスポーツドリンクのような飲み物がオススメです。
注意点③通気性の良いウェアを着用する
夏場は服装選びも重要。服装は出来るだけ涼しい服装で。日焼け防止のために長袖やタイツを着用するのも良いですが、ウェアは出来るだけ通気性の良いものを選びましょう。通気性が悪いと、ウェア内に熱がこもってしまい体温がどんどん上がってしまいます。熱を素早く外へ逃がすベンチレーションシステム付きのウェアがオススメです。また、汗を素早く吸収し素早く外へと逃がす吸汗速乾性も重要。色も熱を吸収しやすい暗い色のものではなく、熱を反射する明るい色のものを選ぶようにしましょう。
暑い夏も工夫して頑張ろう!結果は必ず秋冬に出る
マラソンランナーにとって夏の時期はつらい時期です。まだマラソンシーズンまで時間もあるのでモチベーションを維持出来なかったり、暑さで走るのが嫌になったりすることもあります。でも、うだるような暑さの中でも工夫をしてスタミナをつけていてば、その結果は必ず秋冬のマラソンシーズンで最高の結果となってかえってくるはずです。夏しっかりと鍛えておけば、秋には自分の成長を実感出来、さらに冬の本番のレースで念願のサブ3やサブ4達成が見えてくるはずです。夏はつらいですが、秋冬で最高の結果を手にするために、頑張っていきましょう。