初めてフルマラソンに挑戦するなら、制限時間以内での完走を目標に練習を頑張りましょう。フルマラソンの制限時間(6〜7時間)以内でのゴールは、これから走り始めるというランニング初心者の人でも、今まで特に運動をしたことがないという運動未経験者の人でも十分に達成可能です。今回の記事では、フルマラソンに初めて参加する初心者向けに、フルマラソン完走のための練習のやり方を紹介しています。フルマラソン本番の半年前から1週間前の調整に至るまで具体的な練習量や練習メニューを紹介しています。また、多くのマラソン初心者が気になるであろう、フルマラソン完走の条件や、練習開始時期(何ヶ月前?)、練習頻度、月間走行距離なども紹介しています。フルマラソン初挑戦の人は是非参考にしてみてください。
目次
フルマラソン完走の条件
①ハーフマラソンを完走出来る走力
フルマラソン(42.195キロ)を完走するためには、その半分の距離であるハーフマラソン(21.0975キロ)を完走出来る走力は必須です。もちろん、練習開始の段階ではハーフマラソン未経験でも問題ありませんが、練習の中でハーフマラソン、或いは20キロ前後の距離は走っておく必要があります。
②制限時間の6時間を切る
フルマラソンの大会の制限時間は東京マラソンや大阪マラソンのように7時間の大会もありますが、多くの大会は6時間。フルマラソン完走を目指す場合、42.195キロを走り切るスタミナとともに、制限時間内の6時間で走り切れるだけの走力を磨いていく必要があります。
③全ての関門を時間内に通過する
フルマラソンは制限時間内にゴールへとたどり着くだけではなく、コースの各所にある関門も決められた時刻までに通過する必要があります。関門の閉鎖時刻が過ぎると、まだゴールの制限時間内(6時間以内)であっても失格となってしまいます。
フルマラソン完走へ向けて、練習の目標は「20kmを7分ペースで走れる走力」を養うこと
初めてのフルマラソンで見事完走を果たすためには、これからの練習で20kmを7分ペースで走り続けられる走力を磨いていくことが大きな目標となります。
フルマラソンの制限時間ギリギリのペースは、1キロあたり8分32秒ペース。でも、本番このペースで走ると間違い無く完走は出来ません。フルマラソンのような大きい大会は、スタートの号砲が鳴ってからスタートラインにたどり着くまでに20~30分程度かかってしまうこともあります。また、ずっと走り続けるわけではなく、途中の給水所やエイドステーションで水分補給やエネルギー補給をしたり、トイレに立ち寄ったり、痛む足を一旦立ち止まりストレッチしたりと、何かとタイムロスが生じます。さらに、初めてのフルマラソン、イーブンペースで走り続けるのは難しく、20~30km過ぎ当たりから失速し、大きくペースが落ちるのが普通。
そういったタイムロスや後半の失速を考慮すると、確実にフルマラソンを完走するためには、本番でキロ7分~7分20秒ペースで走りたい。練習で20kmを7分ペースで走れるようになれば、本番のフルマラソン大会で完走出来る可能性がグッと上がるので、そこを目標に練習をしていきましょう。
初めてのフルマラソンで完走するための練習のポイント
①練習開始時期は「半年前」
フルマラソンの練習はいつからすべきか。理想は1年前からですが、中々初めてのフルマラソンで1年前から練習を続けていくというのはモチベーションが長続きしないので、「半年前」を目安に練習を開始すると良いです。大都会を走る東京マラソンや大阪マラソンは抽選結果が出るのが丁度、本番5~6カ月前。なので、抽選結果が出たぐらいから練習を開始してみるのがおすすめ。もし、現状で既に10kmぐらい走る体力があるなら、3カ月前からでも大丈夫です。
②練習量の目安は「月間走行距離100km」
フルマラソン完走の目安となる月間の練習量(月間走行距離)は、「100km」です。月に100km走る練習をこなせるようになっていれば、フルマラソンはかなり高い確率で完走出来ます。また、最初から月間走行距離100kmを目安に練習開始するのではなく、体力をつけていく中で徐々に月間100kmへと近づけていくのが理想です。あまり無理に練習量を増やすと膝や腰などを痛める原因になるので、最初から無理はし過ぎないように注意しておきましょう。
③練習頻度は「週3~4回」
フルマラソンへ向けた練習頻度は「週3~4回」が理想。フルマラソンでサブ3やサブ4を狙うような中上級者の場合は、毎日走る人が多いですが、フルマラソン初心者は中1日は休みの日を設ける形で週3~4日練習すると良いです。また、練習の中で膝が痛くなったりすることがあります。そういった場合は無理に練習計画を押し進めるのではなく、練習を休みにする、走る距離やペースを落としてみるといった対応が必要です。
フルマラソン初心者におすすめの練習メニュー
①ウォーキング
10キロマラソンやハーフマラソンも走ったことがなく、今回のフルマラソン挑戦が初めてのマラソン大会参加という人も多いでしょう。そんなマラソン初心者の人は、まずは「ウォーキング」から始めるのがおすすめ。普段から走っているなら不要ですが、ランニング自体も未経験なら走る前にウォーキングで「運動する習慣」と「基礎的な体力」を作っていく必要があります。
②ジョグ
ウォーキングで走るための準備が出来たら、次はジョグを始めます。ジョグは、ランニング初心者が最初に取り組むべき練習メニュー。全力で走るのではなく、余裕のあるペースで気持ちよく走るのがジョグ。ジョグは、全身持久力を鍛えるのに効果的な練習で、30~60分のジョグをすることで、フルマラソンを走るための基礎的なスタミナを養うことが出来ます。
また、ジョグは血行を促進し疲労を取り除く効果もあるので、ちょっときついトレーニングをして体に疲労が溜まっている時などにリフレッシュ目的でジョグをすることも多いです。ジョグは単なるスタミナ強化だけではなく、疲労回復効果なども期待出来るので、マラソンのトレーニングとして広く活用されているものです。
③LSD
30~60分のジョグで基礎的なスタミナを磨いたら、次に実践したいのが90~120分のLSDという練習メニュー。LSDとは、ロングスローディスタンスの略で、ゆっくりと長い距離を長い時間をかけて走るトレーニングです。LSDはジョグよりもゆっくりと走る。ゆっくりと走るので、その分だけ普段より長い時間走ることが可能。なので、フルマラソンのような長い時間走り続けるための、スタミナのある脚力を鍛えるのに効果的です。
LSDをやってみると分かりますが、「速いペースで走る方が楽」と感じます。これはゆっくりと走ることで、空中にいる時間が減り、足が地面と接地している時間が増えて、足の筋肉への負荷が増えているため。一見するとほとんど意味がないようなゆっくり走る練習も、実は長時間走り続けられる足のスタミナを鍛えるのに凄く効果的なのです。
④ペース走
スタミナを養ったら、次に実践したいのが、ペース走。ペース走は一定のペースで走り続けられる走力を磨く練習。フルマラソン完走を目指す場合、出来るだけ無駄なペースのアップダウンは避けたい。走るペースが速くなったり、遅くなったりするのは体力を大きく消耗するので効率の悪い走りとなります。ペース走で同じペースで走る感覚を磨いておくことで、本番当日に疲れにくい効率の良い走り方が出来ます。
また、フルマラソンをキロ7分ペースで走るためにも、練習で7分を意識して走っておきたい。最初からいきなり20kmを7分ペースで走るのは無理なので、5kmから初めて徐々に距離を伸ばしていくと良いです。スタミナを養うLSDやジョグと組み合わせて取り組むことで、徐々にフルマラソンの完走ペースで走れる距離が伸びていきます。
⑤距離走
フルマラソンの練習の集大成ともいえるのが、距離走。フルマラソンへ向けて長い距離を走ることで、距離に対する不安を払拭し、当日へ向けての自信を養うことが出来ます。初めてのフルマラソンへ向けて距離走に取り組むなら、20km距離走がおすすめ。一般的に、フルマラソンの練習で「本番1カ月前から3週間前に30km走をしよう」と言われることが多いですが、フルマラソン完走を目指すレベルのランナーに30km走はNG。30km走はかなりダメージが大きいです。もし3週間前に30km走をすると、筋肉疲労や膝や腰の痛み抱えたまま本番を迎えてしまって、持っている力を出し切れない可能性が高いです。また、最悪の場合、本番を前に怪我をしてしまう可能性もあります。
既にフルマラソンの経験がある、サブ4やサブ3を目指しているなどの場合を除いて30km走は不要。初めてのフルマラソンで完走を目指す人は、距離走は20kmで十分。当然、一人で20kmを走るのはフルマラソン初心者にとってはなかなかハードルが高いので、みんなと一緒に走れるハーフマラソンの大会を利用するのがおすすめ。本番の1カ月前までにはハーフマラソンを一度走っておくと良いでしょう。
フルマラソン完走へ向けた具体的な練習計画例
フルマラソン6カ月前
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
休 | 30分ウォーク | 休 | 30分ウォーク | 休 | 30分ウォーク | 休 |
フルマラソン初心者が大会へ向けて最初に取り組むべき練習は、「ウォーキング」です。普段からランニングをしている人を除いて、走ること自体が初心者という人は、最初の1カ月は1日30分のウォーキングを週3~4日取り組みましょう。この期間で、まずは運動する習慣を作るとともに、基礎的な体力を作っていきます。
フルマラソン5カ月前
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
休 | 30分jog | 休 | 30分jog | 休 | 30分jog | 休 |
ウォーキングで運動する習慣が出来たら、1日30分ジョグに取り組みます。この期間は、まずは走ることに慣れることが先決。走るペースは遅くていいので、自分が走れるペースで30分走ってみましょう。もし、30分走るのが難しいなら、ウォーキングとランニングを組み合わせながらでも大丈夫です。
フルマラソン4カ月前
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
休 | 60分jog | 休 | 60分jog | 休 | 60分jog | 休 |
30分ジョグに慣れたら、走る時間を60分に伸ばしてみましょう。すぐに60分へと伸ばすと膝を痛めてしまうこともあるので、「30分→45分→60分」と徐々に伸ばすのも有りです。このジョグも基本的にペースは気にする必要はありません。長時間体を動かすためのスタミナを養うのが目的なので、ペースは「キロ7分」より遅くて全然大丈夫。無理にペースを速めて、息が大きく乱れるような走り方よりも、適度な余裕があるぐらいのペースの方がフルマラソンを走るためのスタミナを強化しやすいです。
フルマラソン3カ月前
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
休 | 90分LSD | 休 | 60分jog | 休 | 5~10kmペース走 | 休 |
30~60分のジョグで基礎的なスタミナを鍛えたら、次はフルマラソンを走るための実践的なスタミナと完走ペースで走り続けるペース感覚を磨いていきます。スタミナ強化では90分LSDにトライ。LSDはジョグより遅いペースで、長時間走り続けることが目的なので、自分が走れるぐらいのゆったりペースで走ってみましょう。もし、90分走り続けるのが難しいから適度にウォーキングを挟みながらでも大丈夫。徐々に90分走り続けられるようになれば問題ありません。
5~10kmペース走は、本番のフルマラソンに備えて、本番と同じキロ7分ペースで走ります。最初は一定のペースで走るのが難しく、ペースが上がったり、下がったりしますが、徐々に一定ペースで走れるようにすれば大丈夫です。距離は最初は5キロから初めて、徐々に10キロへと伸ばしていきましょう。
フルマラソン2カ月前
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
休 | 120分LSD | 休 | 60分jog | 休 | 10~15kmペース走 | 休 |
フルマラソン本番2カ月前になると、かなり走る距離や時間が長くなります。LSDは90~120分を目安に、ペース走は10~15kmを目安に取り組みましょう。本番2カ月前にこの練習をこなせるまでに成長していれば、本番でフルマラソンを完走出来る可能性がかなり高いです。
フルマラソン1カ月前
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
休 | 60分jog | 休 | 60分jog | 30分jog | 休 | ハーフマラソン |
本番1カ月前までを目安に20kmの距離走又はハーフマラソンを走ってみましょう。一人で20kmを走っても良いし、ハーフマラソンの大会に参加してみんなで21.0975kmを走っても良いです。20キロ前後の距離を走れれば、フルマラソンへ向けて大きな自信となるはずです。本番1カ月前はハーフマラソンを走る以外はあまり追い込んだ練習はせずに、本番へ向けて疲労を残さないように練習量はやや控えめに。
フルマラソン1週間前
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
60分jog | 休 | 30分jog | 休 | 30分jog | 休 | フルマラソン |
フルマラソン1週間前は調整期間です。本番を良いコンディションで迎えられるように疲れが残るような練習はしないようにしましょう。全く走らないというのは、それはそれで良くないので、30~60分のジョグをするぐらいがベスト。
初めてのフルマラソン、感動のゴールへ向かって頑張ろう
初めてのフルマラソンは多くの人が期待と不安でいっぱいなはず。本当に42.195kmもの未知の距離を走り切れるのかどうか、制限時間内にゴールにたどり着けるのかどうか、初めて参加するランナーの多くがこういった不安を抱えています。でも、本番へ向けてしっかりと練習をこなしておけば、初めてのフルマラソン挑戦でも、きっと完走出来るはずです。練習はつらかったり、やめたくなる時もあると思いますが、本番当日、沿道の人からの割れんばかりの声援を受けながらゴールする瞬間は、そういったつらい練習を吹き飛ばしてしまう大きな感動が待っています。その感動のゴールの瞬間へ向かって、練習を頑張っていきましょう。