ウォーキングをするタイミングは、「食事前」か「食事後」か悩むところ。「食前の運動がダイエットに良い」ということでご飯を食べる前の空腹状態でのウォーキングを勧める意見もあれば、「運動後に歩いたほうが太りにくい」なんて意見もあり、本当はどっちが良いのか迷ってしまいます。
ウォーキングは健康やダイエットに良いと言われる有酸素運動の一つで、どのタイミングで実施しても体に良いことは間違いありません。でも、食前に歩くか食後に歩くかで微妙に効果の違いがあります。その効果の違いについて紹介しつつ、目的別にどっちがおすすめか紹介しているので、是非参考にしてみてください。また、食事前のウォーキングも食後のウォーキングもそれぞれ注意しておきたい点もあります。その点についても記載しているので、チェックしてみましょう。
目次
「食前」のウォーキングの効果
脂肪燃焼
朝食や夕食の前にウォーキングする一番の効果は、「脂肪燃焼」です。食後のウォーキングにも脂肪燃焼効果はありますが、より効果が高いのが食事前のタイミング。
その理由は、ご飯を食べる前の方が、ごはんを食べた後よりも運動エネルギーとして脂肪を効率よく使えるため。エネルギーは、一番優先的に使われるのは糖質。脂肪が使われるのは糖質が不足してきてから。ご飯を食べた後だと、血液中にたくさんの糖が存在している状態なので、なかなか脂肪は使われません。でも、ごはんを食べる前だと血液中の糖が既に不足している(少ない)状態なので、かなり早いタイミングで脂肪を消費出来るようになります。
食欲抑制
食事前にウォーキングすることで、食欲を抑制し運動後の「食べ過ぎ」を防ぐことが出来ます。運動をすると、「食欲が旺盛になるのでは?」と思う人も多いですが、意外にも運動をすることで食欲を抑えることが出来るのです。激しい運動をすると、運動直後は「食べる気がしない」なんてことは良くあります。そして、それほどきつくないウォーキングという運動でも、食欲を抑えることが出来ると、イギリスラフラバー大学の研究を始め様々な研究によって分かっています。
食事の前に運動をすることで、食欲を抑えられるのは「グリセリン」と「セロトニン」という二つのホルモンが関係しています。グリセリンは食欲をコントロールするホルモンで、グリセリンが多く分泌されると食欲が旺盛になりついつい食べ過ぎてしまいます。運動はこのグリセリンの分泌量を抑制する効果があります。また、セロトニンは幸せホルモンと言われるように精神安定剤のような役割を持つホルモン。このホルモンが多くなることで、ストレスなどでイライラしてしまうことによるドカ食いを防止することが出来ます。セロトニンはウォーキングのような一定のリズムで動くリズム運動で良く分泌されるホルモン。さらにセロトニンは食欲を抑える働きもあります。
「食後」のウォーキングの効果
脂肪の蓄積を予防
食後のウォーキングは、朝食や昼食、夕食で食べたご飯が脂肪として体に蓄積されるのを防止する効果があります。食事で摂った糖質や脂肪は、その後エネルギーとして使われない限り、脂肪へと変わります。ご飯をたくさん食べたら、その分だけ仕事や家事、スポーツ等でエネルギーを消費しないと、どんどん脂肪が蓄積していき太ってしまいます。
そうならないためには、食事でカロリーを摂取した後に、運動をしてすぐにカロリーを消費することが大切。食事で摂った糖質が脂肪へと変わる前に、ウォーキングをすることで、現在の体重や体型をキープすることが出来ます。
食後の血糖値を下げる
糖尿病の運動療法の一つとして医師から勧められることが多いのが、ウォーキング。ウォーキングは、血糖値の上昇を抑える効果があるので、血糖値の数値が気になる人は歩く習慣を身に着けておきたいところ。そして、タイミングとしては食後のウォーキングが血糖値を下げるのに効果的。
ご飯を食べた後は、血液中の糖質が増えて血糖値が大きく上がるタイミング。日頃の生活で、血糖値が大きく上がったり下がったり乱降下する「血糖値スパイク」を抑えたい。食後直後の運動は、食事で摂った糖質を筋肉で効率よく代謝することが出来るので、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。
ウォーキングは「食前」と「食後」、どっちが良い?
ダイエットのためのウォーキングは「食前」
「痩せたい」「体重を落としたい」といったように、現在の体型をスリム(細身)にしたい、或いは余分な脂肪を落として引き締まった体へしたいという人には、「食前」のウォーキングがおすすめ。基本的に、ダイエットのためにウォーキングをする人は、体に蓄積してしまった脂肪(体脂肪)を効果的に燃焼出来る食事前のタイミングが効果的なのです。
食事後のウォーキングも食事で摂取したカロリーをすぐ消費出来るので、「太らない」ようにする効果はありますが、「痩せたい」といった場合はあまり効果的ではありません。食後だと使われるエネルギーの多くは、食事で摂った糖質。体に蓄積している脂肪をあまり使うことが出来ないので、体型維持は出来ても体重を落とすというのは難しいです。食事前のウォーキングだったら、比較的短い時間歩くだけでも脂肪燃焼効果が期待出来るので、ダイエットにおすすめです。
健康のためのウォーキングは「食後」
ダイエット以外で健康のために歩くなら「食後」が効果的。食後のウォーキングは食事で摂ったカロリーをすぐに消費出来るので、糖質が脂肪に変わってしまうのを防ぎ体型維持に効果的です。現在、細身の人で「これ以上細くはなりたくないけど、このスタイルを維持したい」といった人は、朝食や昼食、夕食を食べた後のタイミングでウォーキングをする習慣を作ると良いです。
また、食後のウォーキングは凄く健康的です。食後は血糖値が大きく上がってしまうタイミング。食事を摂った後に血糖値が上がる現象は誰にもあるのですが、その跳ね上がり方が凄いと糖尿病のリスクはもちろん、血管に大きな負担をかけることで血管の病気を招くこともあります。血管をいつまでも健康的な状態に保つためにも、食後の血糖値の上昇は出来るだけ抑えたい。食後のウォーキングは血糖値の上昇を緩やかにするので、健康に良いです。
「食前」のウォーキングの注意点
食事を摂る前にウォーキングをする際は、「空腹」でウォーキングしないことが大切。食事を摂る前にウォーキングすると、血糖値が低いので効率よく脂肪が燃焼出来、ダイエットに効果的。でも、血液中の糖がほとんどない状態だと、逆に脂肪の燃焼効率が悪くなるので、ある程度の糖質は補給しておく必要があります。特に、朝ウォーキングをする人は、昨晩の夕食から食事が10時間ぐらい絶食状態。そのまま運動すると、脳は「飢餓状態」だと判断し、生命維持のためにも脂肪の消費を出来るだけ節約しようとして、ほとんど効果が得られないので要注意。
食事前のタイミングでウォーキングをする場合は、歩き出す30分前ぐらいのタイミングで適度に糖質を補給出来る「飴」「ゼリー」「チョコ」「バナナ」といったものを一つでも良いので食べておくことが大切。
「食後」のウォーキングの注意点
食後に運動をする時は、糖尿病ネットワークに記載されているように食後30分から2時間ぐらいのタイミングで歩くようにしましょう。
食後すぐに歩き出すのは、消化不良の原因となるのでNG。特にそれなりの早いペースで歩くとなると、筋肉にたくさんの血液が集まり、本来消化のために働く胃や腸への血液量が少なくなってしまうので、食事を摂ってすぐに動き出すのは避けておきたい。
逆に食事からかなり時間を空けてウォーキングするのは、血糖値の上昇を抑える効果が下がってしまうので、出来るだけ食後30分、遅くても1時間以内には歩き出したいところ。その理由は、このタイミングで血糖値が大きく上がっていくから。このタイミングでウォーキングをすることで、筋肉へたくさんの血液が流れ込み、血液中の糖を活動エネルギーとして消費し、血糖値を効果的に下げることが出来るのです。健康のことを考えてウォーキングをするなら、食事を摂ってから30分後ぐらいに歩き出しましょう。
ウォーキングは「食前」か「食後」か、自分の目的に合ったタイミングで!
ウォーキングは、「食前」でも「食後」でも健康に良いのは変わりありません。それでも、よりダイエット効果を求めるなら「食前」、血糖値の上昇を抑えるなら「食後」が効果的です。ウォーキングを始める理由は、人それぞれ。ダイエットのために頑張る人、健康診断の数値を改善するために歩き出す人、体型維持のためにウォーキングする人など。ウォーキングをする時は、食事前か食事後かどのタイミングですべきか迷うことも多いですが、それぞれの目的に合ったタイミングで取り組んでみましょう。