ハーフマラソンやフルマラソンといった長距離走を終えた後は、無事完走出来た或いは目標タイムを達成したご褒美として晩御飯に焼肉を食べたいと思っている人も多いはず。前日までは糖質を意識してパスタやごはんものをたっぷり食べていたのでお肉が食べたいというのは自然なこと。もちろん、レース後は下半身を中心に足の筋肉が疲労しているので、その筋肉を早期に回復し翌日以降の筋肉痛を予防するためにも、タンパク質を意識的に摂ることは大切です。
ただし、単純に食べたいものを食べてしまうと、体の疲れが取れるのが遅くなってしまいます。そうならないためにも、マラソン大会の後の食事は疲れた体をケアするために、考え食事をすることが大切。
この記事では、5kmマラソンからフルマラソン、ウルトラマラソンまで、長距離レースを終えたランナーのために、出来るだけ早く疲労を回復させるための食事のポイントについて紹介させていただきます。完走直後からマラソン翌日以降まで、朝食、昼食、夕食を摂る時の参考にしてみてください。
目次
マラソン完走直後の栄養補給のポイント
マラソン直後は素早く水分補給!スポーツドリンクがおすすめ!
マラソン完走後は出来るだけ早く、水分補給をするようにしましょう。フルマラソンを完走する中で、体の多くの水分が汗となり、体から失われています。
マラソンは多くの汗をかくスポーツのため、脱水症状を引き起こしやすいです。ゴール直後は体に必要な水分が不足している状態ですので、素早く水分補給をすることが大切です。
さらに、水分補給と同時に糖質補給が出来るスポーツドリンクや、オレンジジュースやグレープフルーツといった果汁入りのジュースがおすすめです。
マラソンを完走する頃には体の中のエネルギー源であるグリコーゲンが枯渇状態になっています。そのエネルギー源を素早く補給してあげるためにも糖質補給も大事。もし、体の中にグリコーゲンが枯渇している状態が長く続くと、本来筋肉の修復に使われるはずのタンパク質が分解され、エネルギー源に回されてしまいます。
タンパク質はレースで傷ついた筋肉の修復に欠かせません。その貴重なタンパク質が分解されてしまう前に、グリコーゲンとなる糖質を補充してあげる必要があります。目安としてレース完走後から30分以内に十分な糖質補給をすることが大切です。
マラソン直後は素早く糖質補給!バナナやおにぎりがおすすめ!
レース直後は水分補給とともに糖質補給も大切です。まず、水分補給をし、その次に糖質補給となるものを口にしましょう。
マラソンでは体の中に蓄えられているグリコーゲンが消耗し、不足している状態になるため、糖質補給が欠かせません。家に帰ってから糖質を補給するのではなく、レース完走から30分以内ぐらいには糖質をしっかり補給しましょう。
糖質を素早く補給できるものでは、おにぎり、カステラ、パン、バナナ、フルーツといったものがおすすめです。ただ、レース直後は食欲が湧かないことも多いです。そのような場合でも糖質をしっかり補給する必要はあるため、エネルギーゼリー(栄養ゼリー)のようなものを用意しておきましょう。
マラソンを終えてお腹が空いてきたらタンパク質を補給しよう
レース直後は交感神経が優位になり、興奮状態にあるため、食欲がわかないことが多いです。そのため、固形物を食べるのはなかなか難しいです。
ただ、レースからしばらく経つと、意外とお腹が空いてきます。そんな時は”タンパク質”を摂るようにしましょう。レース直後には糖質を摂ることが大切ですが、タンパク質を摂ることも大切です。
糖質は”レース直後に枯渇しているエネルギー補給”が目的で、タンパク質は”レース直後の傷ついた筋肉の修復”が目的です。レース直後にタンパク質を摂ることによって筋肉を素早く回復させることが出来ます。
レース直後に食べるタンパク源となる食べ物としては、比較的食べやすく、消化に良いものを食べましょう。おすすめは、タンパク質が摂れる鮭入りのおにぎり、卵入りのサンドイッチやツナサンドです。これらはタンパク質とともに糖質も一緒に摂ることが出来ます。
マラソン後の食事で素早く疲労回復するポイント
グリコーゲン補給のために”糖質”を摂ろう
マラソンで消耗したグリコーゲンを補給するために、マラソン後の食事では糖質を多く摂ることが大切です。ごはん、パスタ、うどん、パン、もちといった炭水化物の食べ物を主食や主菜として食事メニューに取り入れましょう。
筋肉のダメージを修復するための”タンパク質”を摂ろう
マラソン完走後は、グリコーゲンが大きく消耗するだけではなく、全身の筋肉が大きなダメージを受けています。筋肉のダメージを少しでも早く修復させるために、タンパク質を摂りましょう。
タンパク質は肉、魚、豆腐、納豆、卵などに含まれる栄養素です。ただ、タンパク質を摂るために、トンカツや焼き肉、ステーキといった脂っこいものを食べるのは控えておきましょう。マラソン完走後は胃腸にも大きな負担がかかっているため、胃腸に優しい食べ物が向いています。
肉であれば、脂肪分の多い牛肉や豚肉ではなく脂肪分の少ない鶏ムネ肉や鶏のササミなんかを選ぶと良いです。魚であれば、イワシやサバ、マグロ、刺身、寿司といった消化しづらいものではなく、消化しやすいアジ、ヒラメ、タイ、カレイ、スズキといったものを選びましょう。
糖質とタンパク質の働きをサポートする”ビタミンB群”も欠かせない
糖質とタンパク質を摂るなら、一緒にビタミンB群も摂ることが大切です。ビタミンB群は糖質の代謝を助けたり、タンパク質の分解・合成を助ける役割があります。糖質とタンパク質はそれ単体では、機能を発揮しません。ビタミンB群があって初めて機能を発揮してくれます。
特にビタミンB1は炭水化物(糖質)の代謝を助け、動くのに必要なエネルギーを作り出す役割を担っています。ビタミンB1を摂ることで上手くエネルギーが作られ、疲労回復に繋がります。ビタミンB6はタンパク質の分解・合成に関わるビタミンで、成長の促進や筋肉の修復などに関わります。
ビタミンB群は豚肉、ハム、イワシ、まぐろ、納豆、豆腐、緑黄色野菜、海苔などに多く含まれています。
疲労回復に役立つ"ビタミンC"と”ビタミンE"を摂ろう
ビタミンCとビタミンEは疲労回復に役立つビタミンです。強い抗酸化力があり、血行促進作用のある、これらのビタミンは血流を良くすることで、疲労回復が期待出来ます。
ビタミンCは主に赤ピーマン、黄色ピーマンを始めピーマンに多く含まれています。果物ではレモン、キウイフルーツ、いちごに多いビタミンです。また、ビタミンEは主にモロヘイヤ、かぼちゃ、赤ピーマンなどの野菜、アーモンドなどのナッツ類に多いビタミンです。
貧血予防のために”鉄分”を補給しよう
フルマラソンはランニング中に大量の汗をかきます。体内の鉄分は汗とともに体の外に排出されてしまいます。つまり、大量の汗をかくことで、マラソン完走後には鉄分が多く失われてしまっているということです。
また、ランニングのようなジャンプの動作を繰り返すスポーツは、足の裏の赤血球が破壊され血液中のヘモグロビンが減少し、スポーツ性貧血を招く原因になります。フルマラソンでは、このような事から貧血になる場合があるため、完走後はしっかり鉄分を補給することも大切です。
鉄分はレバーやひじき、ほうれん草などに多く含まれています。
マラソン後の食事メニューの参考例
参考例①
ビタミンB群が豊富なピーマンやタンパク源となる豚の生姜焼き乗せの丼物。タンパク源となる白米も一緒に摂れる。鉄分を補給するのに打ってつけなほうれん草の胡麻和え。大根や人参、白菜などビタミンが摂れるコンソメスープ。デザートはタンパク源となりお腹にも優しいヨーグルト。
参考例②
主食は炭水化物源となる白米。疲労回復に役立つクエン酸を含む梅干しを添えて。主菜である鍋の具材には、タンパク源、ビタミンB群源となる豚肉と豆腐。さらにタンパク源となる納豆と、疲労回復のビタミンEを多く含むうなぎを追加。
参考例③
主食は炭水化物源となるパスタ。パスタには疲労回復に役立つビタミンCいっぱいのピーマンや炭水化物源となるカボチャ。筋肉の修復のためのタンパク源はローストビーフ。デザートはビタミンB群が含まれるイチジク。