陸上競技大会において、トラック専用の陸上スパイクではなく、ロードで使う一般的なランニングシューズを履いても良いのか気になっている人は多いはず。基本的にランニングシューズはダメということはありませんが、日本国内で開催される主な陸上競技大会では世界陸連(WA)の定めるシューズの厚底規定が適用されるため、厚底が主流となっている今のランニングシューズはそのほとんどがトラックレースで着用禁止となっています。
そこで今回の記事では、陸上スパイクが苦手、競技会でもロードシューズを履きたいという人向けに、陸上トラック競技でも使用可能な各社のランニングシューズ(陸上ルール適合シューズ)を一挙に紹介しています。現状のルールに対応した厚さ25mm以下のモデルから、2024年11月から適用される新ルールに対応した厚さ20mm以下のモデルも紹介しています。また、現状の厚底規定の内容や新ルールにおける変更点、ルールの適用される大会についても詳しく紹介しています。社会人ランナーはもちろん、部活を頑張る中学生や高校生、大学生も是非参考にしてみてください。
目次
【2024年最新版】陸上競技用シューズの厚底規定
現行ルール (2024年10月31日まで) | 新ルール (2024年11月1日から) | |
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トラック種目:800m未満(100m/200m/400m/100mH/110mH/100mx4R/400mx4R) | 20mm | 20mm |
トラック種目:800m以上 (800m/1500m/3000m/5000m/10000m/3000mSC) | 25mm | 20mm |
トラック種目:競歩 (5000mW) | 40mm | 40mm |
フィールド種目:三段跳以外 (走高跳/走幅跳/棒高跳/砲丸投/円盤投/やり投/ハンマー投) | 20mm | 20mm |
三段跳 | 25mm | 20mm |
道路競技 (競歩・ロードレース・駅伝・マラソン) | 40mm | 40mm |
クロスカントリー | 20mmスパイク又は40mmノンスパイク | 20mmスパイク又は40mmノンスパイク |
マウンテンレース・トレイルレース | 制限なし | 制限なし |
日本国内で開催される主な陸上競技大会では、陸上競技の国際競技連盟である世界陸連(WA)が定めるシューズに関するルール(WA規則TR5)が適用されます。特に競技用シューズの靴底の最大の厚さの規定(いわゆる厚底規定)が大きな注目を集めており、上記の表が現行ルール(2024年10月31日まで適応)と新ルール(2024年11月1日から適用)をまとめたものとなります。各種目ごとに、靴底の厚さの上限に違いがあります。
陸上トラック競技で使えるシューズは、短距離種目が厚さ20mm以下、中長距離種目が厚さ25mm以下
現状の陸上ルールでは、陸上の短距離種目(100m・200m・400m)とハードル種目(100mH・110mH・400mH)、リレー種目(100mx4R・400mx4R)で着用出来るのは、厚さ20m以下です。
陸上の中長距離種目(800m・1500m・3000m・5000m・10000m)と障害種目(3000mSC)で着用出来るのは、厚さ25mm以下です。現状は、中長距離種目では足への負担軽減を配慮し、厚さ25mmまで許されているため、短距離種目よりも比較的多くのランニングシューズから競技用シューズを選択することが出来ます。
2024年11月以降適用の新ルールでは、トラック全種目で厚さ上限20mmに規制強化
現行の陸上ルールが適用されるのは、2024年10月31日まで。2024年11月1日からは陸上新ルールが適用されるため、厚底規定に大きな変更点があります。新ルールでは、トラック種目の800m以上も靴底の厚さの上限が20mmへと規制強化される形となります。短距離選手にとっては新ルールによる変化はありませんが、中長距離選手にとっては大きな変化です。
陸上競技用シューズの厚底規定は、中学、高校、大学の大会も適用対象
陸上シューズの現行ルールと新ルールの厚底規定は、国内外のトップ選手が集うオリンピックや世界陸上、日本選手権などの大会だけではなく、全中やインターハイ、インカレ、さらにはそれらに繋がる地区予選や都道府県予選などの中学生・高校生・大学生の大会にも適用されます。新ルール発表後は、「アマチュアクラブ、学校、大学、マスターズレベルの競技会に適用されない」とのメディア報道もありましたが、その後に日本陸連が、下記の競技会では厚底規定が適用されると明確化しています。つまり、アマチュアの学生の大会でも、多くの公式試合や記録会において厚底規定が適用されるというわけです。
【適用範囲】
日本中体連陸上競技専門部とその下部組織が主催・共催する競技会
全国高体連陸上競技 専門部とその下部組織が主催・共催する競技会
日本学生陸上競技連合とその下部組織が主催する競技会
各加盟団体の主催する競技会で主催者が適当と判断した競技会
陸上トラック競技で使用可能なランニングシューズ一覧【厚さ25mm以下】
メーカー | 商品名 | トラック800m未満 | トラック800m以上 |
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アシックス | ソーティーマジックRP6 | × | ○ (〜2024/10/31) |
ミズノ | デュエルソニック3 | × | ○ (〜2024/10/31) |
ミズノ | ウエーブデュエル3 | × | ○ (〜2024/10/31) |
ミズノ | ウエーブデュエルネオ2エリート | × | ○ (〜2024/10/31) |
ミズノ | ウエーブクルーズジャパン | × | ○ (〜2024/10/31) |
ミズノ | ウエーブエンペラージャパン4 | × | ○ (〜2024/10/31) |
ニューバランス | ハンゾーR v4 | × | ○ (〜2024/10/31) |
ニューバランス | ハンゾーW v2 | × | ○ (〜2024/10/31) |
ニューバランス | フューエルセル5280 v2 | × | ○ (〜2024/10/31) |
※上記のランニングシューズは、世界陸連の現行ルールが適用される2024年10月31日まで、800m以上のトラック種目において競技用シューズとして使用出来るランニングシューズです。
アシックス ソーティーマジックRP6
asics(アシックス)の唯一の陸上ルール適合シューズである「SORTIEMAGIC RP 6(ソーティーマジックRP6)」。アシックスのソーティーマジックRP6は、アシックスを代表する軽量薄底レーシングシューズです。随所にパンチング加工を施した軽量メッシュアッパーを採用し、150gの驚くべき軽さを誇るのが大きな魅力です。ミッドソールには反発性に優れたFLYTEFOAM PROPELを採用し、さらに中足部から前足部にかけてしなり剛性の高いPROPULSION TRUSSTICテクノロジーを搭載し、抜群の反発力を得られる薄底となっています。アウトソールには、デュオソールとASICSGRIPを採用し、地面を噛んで走るかのような抜群のグリップ力を誇り、陸上トラックレースでも抜群の走りやすさを誇ります。
ミズノ デュエルソニック3
mizuno(ミズノ)の安く買えるトラックレース対応のランニングシューズである「DUEL SONIC 3(デュエルソニック3)」。ミズノのデュエルソニック3は、安くて耐久性が高いモデルで、陸上を頑張る中学生や高校生などの部活生に人気のシューズです。破れやすいところに補強パーツを施し、靴底には摩擦に強い高耐久ラバーであるX10を採用するなど、部活生が安心してハードルに使えるシューズとなっています。また、陸上スパイクのDNAを受け継ぐプレートを搭載し、反発力が高くスピードを出しやすいのも魅力的です。
ミズノ ウエーブデュエル3
mizuno(ミズノ)のトラック種目800m以上対応シューズであり、人気の軽量スピードモデルである「WAVE DUEL 3(ウエーブデュエル3)」。ミズノのウエーブデュエル3は、軽くてスピードを出しやすいのに、適度なクッション性と安定性も備えた非常に機能性の高い一足です。ミッドソールには軽量高反発素材であるMIZUNO ENERZY LITEを搭載し、アウトソールに高グリップのG3を採用しているため、陸上競技場のタータントラック上でもしっかりとスピードを出すことが出来ます。また、適度にクッションがあり、MIZUNO WAVEによる安定性も感じられるため、3000mや5000m、10000mなどの長距離走でも非常に快適な一足です。
ミズノ ウエーブデュエルNEO2エリート
mizuno(ミズノ)のロードレースとトラックレース兼用ランニングシューズである「WAVE DUEL NEO 2 ELITE(ウエーブデュエルネオ2エリート)」。ミズノのウエーブデュエルネオ2エリートは、素足で走っているかのような抜群のフィット感を得られるのが魅力的なシューズです。軽量なハイカットのニットアッパーを採用し、足との一体感が抜群です。ミッドソールには軽量高反発素材であるMIZUNO ENERZY LITEを搭載し、さらに陸上スパイク譲りの樹脂製プレートであるウエーブプレートを搭載しているため、確かな反発力が得られ、高速ペースで駆け抜けることが出来ます。また、高グリップのG3をアウトソールに採用しているため、ロードでもトラックでもしっかりと地面を掴んだ走りが出来ます。
ミズノ ウエーブクルーズジャパン
mizuno(ミズノ)のエキスパートランナー向けの軽量薄底ランニングシューズである「WAVE CRUISE JAPAN(ウエーブクルーズジャパン)」。ミズノのウエーブクルーズジャパンは、日本製による心地よいフィット感を得られるのが魅力的な薄底です。日本人ランナーのために開発された日本製の薄底であるため、細部までこだわるエキスパートランナーの足にぴったりです。また、軽量高反発でスピードを出しやすいのに、MIZUNO WAVEテクノロジーを搭載しているため安定感もあります。日本製らしい確かな品質と機能性を体験出来る一足です。
ミズノ ウエーブエンペラージャパン4
mizuno(ミズノ)の最高峰の薄底レーシングシューズである「WAVE EMPEROR JAPAN 4(ウエーブエンペラージャパン4)」。ミズノのウエーブエンペラージャパン4は、最高峰のメイドインジャパンシューズ。品質と機能性どちらも抜群で、トップを目指す日本人ランナーの走りを協力にアシストしてくれます。まず、日本製らしく細部までこだわり抜かれた作りとなっているため、足馴染みの良さやフィット感が抜群です。そして、機能面では、軽量高反発ミッドソールを採用し、ミズノが誇るプレートテクノロジーも搭載し、反発力が高くスピードを出しやすいシューズとなっています。また、G3アウトソールによるグリップ力も抜群です。薄底ラインナップが多いミズノの最高峰の薄底を求めるトップランナーにぴったりな一足です。
ニューバランス ハンゾーR v4
new balance(ニューバランス)の陸上トラック種目対応ランニングシューズである「HANZO R V4(ハンゾーR v4)」。ニューバランスのハンゾーR v4は、薄底スタイルで軽量性と反発性に優れたモデルで、トラックレースでも使いやすいシューズです。ミッドソールに軽量性と反発性を高次元で両立したREVLITE Xを採用し、軽やかでスピードを出しやすいシューズとなっています。
ニューバランス ハンゾーW v2
new balance(ニューバランス)のトラックレース対応モデルであり、HANZO Rの上位モデルである「HANZO W V2(ハンゾーW v2)」。ニューバランスのハンゾーW v2は、ハンゾーRと比較し、よりスピードを出しやすい反発性重視のモデルとなっています。ミッドソールに軽量高反発のREVLITE Xを採用し、アウトソールには高グリップのDYNARIDEを採用し、ロードでもトラックでも高速ペースでの走りが可能です。
ニューバランス FuelCell 5280 v2
new balance(ニューバランス)の最高峰の陸上トラックレース対応ランニングシューズであり、女子1000m・女子3000m・女子5000mの日本記録保持者である田中希実選手も愛用する「FUELCELL 5280(フューエルセル5280)」。ニューバランスのフューエルセル5280は、トラックレース対応シューズでは唯一カーボンファイバープレートを搭載している点が大きな特徴です。ニューバランスが誇る反発弾性の強いFuelCellフォームにカーボンファイバープレートを組み合わせることで抜群の推進力を得られるシューズとなっています。また、アウトソールには地面を引っ掻くように食いつくDYNARIDEを採用しているため、ロードでもトラックでもグリップ力は抜群です。陸上トラック競技でもカーボンシューズを履きたいという人にぴったりな一足です。
陸上トラック競技で使用可能なランニングシューズ一覧【厚さ20mm以下】
メーカー | 商品名 | トラック800m未満 | トラック800m以上 |
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ミズノ | デュエルフラッシュ | ○ | ○ |
ニューバランス | フューエルセルパルスV1 | ○ | ○ |
アシックス | ハイパーレーサー | ○ | ○ |
※上記のランニングシューズは、世界陸連の新ルールが適用される2024年11月以降も全トラック種目において競技用シューズとして使用出来るランニングシューズです。
ミズノ デュエルフラッシュ
世界陸連新ルールが適用される2024年11月1日以降も、短距離種目から、中距離種目、長距離種目と、トラック競技全般で使用出来る、mizuno(ミズノ)の世界陸連新ルール対応ランニングシューズである「DUEL FLASH(デュエルフラッシュ)」。ソールの厚みが20mm以内に設計されており、現行ルールでトラック種目全般に使えるのはもちろん、新ルール移行後も陸上スパイク代わりに競技用シューズとして使用可能です。機能面では、ミズノの最新テクノロジーであり、踵が浮いた見た目が特徴的なSMOOTH SPEED ASSISTを採用し、自然とフォアフット〜ミッドフット接地が出来るのが魅力的です。ソールにはMIZUNO ENERZYを採用し、軽くて反発力があり、しっかりと速いペースで走ることが出来ます。世界陸連新ルール対応シューズを求める人に最高の一足です。
ニューバランス フューエルセルパルスV1
New Balance(ニューバランス)の世界陸連新ルール対応シューズである「FUELCELL PVLSE V1(フューエルセルパルスV1)」。ソール厚み20mm以下となっているため、2024年11月1日以降も、陸上競技会のトラック種目においてスパイク代わりに競技用シューズとして使用可能です。機能面では、薄底でありながらも、ニューバランスが誇る高反発ソールのFUELCELLフォームを採用しているため、確かな推進力を得ることが出来ます。また、通気性とフィット感に優れたFANTOMFITアッパーを採用し、ニューバランスらしい快適な履き心地となっています。
アシックス ハイパーレーサー
asics(アシックス)のトラックレース専用シューズである「HYPER RACER(ハイパーレーサー)」。2024年11月1日以降に適用される世界陸連新ルールに対応したソール厚み20mm以下の中・長距離用ランニングシューズです。ロードとトラック兼用ではなく、“トラックレース専用”をコンセプトにしたノンスパイク陸上シューズです。部活動で陸上競技デビューする小学生・中学生・高校生・大学生の最初の試合用シューズとして最適です。種目は主に800m・1500m・3000m・5000m・10000mの中・長距離種目に対応しています。靴底のグリップ力抜群で、ノンスパイクでありながらもしっかりと地面を捉え、優れた推進力を得ることが出来ます。
陸上トラックレース対応ランニングシューズを手に入れて、ロードもトラックも快適に走ろう!
世界陸連(WA)の定める競技用シューズの厚底規定をクリアしたランニングシューズなら、ロードレースでもトラックレースでも問題なく着用出来ます。ロード・トラック兼用シューズがあれば、日々の練習でも、陸上競技大会本番でも、お馴染みの履き慣れたシューズを履くことが出来るため、より良い順位を、より良いタイムを掴み取りやすくなるはずです。
厚底ブームの今、陸上トラック競技でも使えるランニングシューズの数はそこまで多くありませんが、それでもアシックスやミズノ、ニューバランスなどのメーカーより陸上ルール適合シューズがいくつか販売されています。是非それらの中からお気に入りのシューズを見つけて、ロードでもトラックでも変わらない快適な走りを楽しんでみましょう。